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【スキー編】名スポーツドクターに聞く!起こりやすいケガ

 2016/01/25 コラム スポーツ 予防
この記事は約 5 分で読めます。
スキ― スポーツ障害

スポーツには、そのスポーツを長くやることで起こるケガや病気があります。これを「スポーツ障害」と呼びます。

スポーツ障害にはどういうものがあるのか、気を付けるべき点、予防ポイントはどこか?名スポーツドクターに回答いただくシリーズを連載しています。今回はスキー編です。

スポーツ障害とは?

スポーツ障害とは、長い間スポーツを継続する間に、小さな力が繰り返し加えられることによって生じる障害のことを指します。ここには突発性、急性のスポーツ外傷は含まれません。スポーツ障害について、この記事のコメントをいただいた雑誌などでもご活躍されるスポーツドクター湯澤医師については、こちらでご紹介しております。
▶ スポーツを長くやっている人に起こる、スポーツ障害とは?

スキーで起こりやすい障害・外傷とは?

スキーは、レクリエーションとしての楽しみ方と、競技スキーとしての楽しみ方がありますが、いずれにしても冬山で行われるスポーツで、日常の環境とは異なる場所で行われるものです。
寒さの中で行うスポーツだからこそ、ウォーミングアップ、事前のストレッチ、事前の体調管理、天候チェック、コースの下見などの準備が入念にされないと、ケガの確率が増えます。
スキーで見られる障害・外傷には以下のようなものが多くなっています。

【下腿の骨折】

転倒時に足をひねり下腿の骨がらせん状に折れる時と、前のめりに転倒した時にブーツの上端を支点に骨が折れてしまうブーツトップ骨折とがあります。

【膝の捻挫】

転倒時に膝をひねることが多く、捻挫が多くみられます。内側側副靭帯や前十字靭帯の損傷が多くなっています。足首をホールする深いブーツが原因で、足首よりも膝やスネにケガをするケースが多いです。

【切り傷】

エッジによる肌の露出部分の切り傷も多くなっています。

ストレッチの「効用」と「効果」、より出る5つのポイントとは?

ストレッチの効果・効用とは

実際の運動の前にストレッチを行うのは、単に筋肉をほぐすだけではありません。ストレッチには以下のような効用があります。
・全身の血流があがり、けがの防止になります。
・柔軟性が上がり、関節の可動領域が広がることで最大筋力(出力)が上がります。
・筋肉の伸展性を上げることで、疲労物質の蓄積も軽減されます。

運動前のウォーミングアップとして、必ず取り入れたい動きです。

ストレッチの関連記事 ▶ ゴルフ前に6分間やるだけ。ケガがぐーんと減るストレッチ

ストレッチ効果をより引き出すポイント5選

またこのようなストレッチの効用をより得るための5つのポイントはこちらです。

1)呼吸を止めない
2)ポーズは20秒保持する
3)つま先や骨盤のむきと傾きに注意する
4)左右差を自覚する
5)関節の動きを意識して筋肉を動かす

それぞれに詳しくみていきます。

【1、呼吸を止めない】&【2、ポーズは20秒保持する】

筋肉はストレッチすると伸ばされるのですが、同時に縮まろうとする動きが発生します。これを反作用といいます。反作用を抑えて伸ばすためには、呼吸を止めずに、20秒続けることがポイントになります。理由は、呼吸を止めると筋肉は緊張して伸びにくくなることと、反作用が弱まって伸びる方向の力がかかり出すのが20秒だからです。もっとも20秒というのは目安で個人差があるため、一度ストレッチのポーズをとってから筋肉がスーッと伸びる感覚のする秒数まで姿勢を保持してみてください。

【3、つま先や骨盤のむきと傾きに注意する】

ストレッチは骨と筋肉の向きに対して負荷をかけることで伸びが得られます。コーチや一緒に行う仲間などにつま先の向きや骨盤の傾きなど、自分が見えない部分をチェックしてもらえるといいですね。

【4、左右差を自覚する】

また左右差は誰にでもあるのですが左右差が大きいと体の軸がぶれることを意味しています。トップアスリートほどシンメトリーな体といわれます。これも周囲の人に見てもらうなどして自覚につなげていきましょう。

【5関節の動きを意識して筋肉を動かす】

関節は回転する部位ですので、筋肉を動かす際、関節と筋肉の方向性、円運動を意識しながら行うと、筋肉の伸展性が十分に得られます。

おすすめトレーニング・年単位でトレーニングプログラムを組む

スキーは冬山がオンシーズンですが、シーズン中と、オフシーズンとでプログラムを分けトレーニングの年間計画を立てて取り組めると理想的です。これは結果を出したいオンシーズンに体のピークを持ってくるようにプログラムを組みます。

例えばオフシーズンは競技であまりつかない部位の筋力アップと、全身のバランス調整、シーズンでは個人の強化ポイントに合った練習といったようなメニュー構成です。

スキーは雪面に沿ってしなやかに体を動かせる筋力が必要になってきます。そのために必要な筋力トレーニングは、

・下半身安定に特に重要な脚部、臀部の筋力
・素早いターン、切り返し、バランスを養うための脚力、体幹の強化
・雪面に安定して対応するための上半身の体幹
・腰痛防止のための腰背部と腹部

などが考えらます。個人の能力を見ながらプログラムを構成してみてください。

レクリエーションスキーとしての安全対策

スキーやスノーボードをレクリエーションとして楽しむ場合は、安全対策も重要です。

スキーやスノーボードは全身運動です。冬山は特に気温が低いため、十分なウォーミングアップを行ない、全身の血流をあげ、体を温めてから、山で楽しんでください。また、冬山の天気は変わりやすいため、天気予報は事前に確認し、帽子や手袋、服装でも体温調整できるように準備すると安心です。視界が悪くなりそうな場合、照明から離れないようにするなどの計画も取れますね。

まとめ

競技者もレクリエーションも事前情報と準備を大切に

スキーは全身運動です。競技者においては年間を通しての全身筋肉の強化プログラムが推奨されています。またレクリエーションとして行なう場合は、十分なウォーミングアップと天気対策をして、スキーやスノボを存分に楽しんでくださいね。

参考文献:「スポーツ別 強くなる筋力トレーニング」 西東社刊

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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