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【相撲/レスリング編】名スポーツドクターに聞く!起こりやすいケガ

 2016/03/04 コラム スポーツ 病名
この記事は約 5 分で読めます。
相撲

スポーツには、そのスポーツを長くやることで起こるケガや病気があります。

これを「スポーツ障害」と呼びます。スポーツ障害にはどういうものがあるのでしょうか?また気を付けるべき点、予防ポイントは?名スポーツドクターに回答いただくシリーズを連載しています。今回は相撲、レスリング編です。

◆スポーツ障害とは?

スポーツ障害とは、長い間スポーツを継続する間に、小さな力が繰り返し加えられることによって生じる障害のことを指します。ここでは突発性、急性のスポーツ外傷は含まれません。

スポーツ障害について、この記事のコメントをいただいた雑誌などでもご活躍されるスポーツドクター湯澤医師については、こちらでご紹介しております。

▶ スポーツを長くやっている人に起こる、スポーツ障害とは?

◆相撲で起こりやすい障害一覧

相撲は重量急の選手がぶつかり合う格闘技であるため、身体のあらゆるところにケガや障害が発生しやすいスポーツです。相撲で起こりやすい外傷、障害は以下の通りです。

【頚部】

立ち合いのぶつかり合いで傷めるケースが多くみられます。頚椎捻挫から頚椎骨折にいたる事もあります。

【肩】

クセになるとやっかいなのが肩関節脱臼です。投げ技をかけたり、かけられたりする時に発生しやすくなっています。慎重に治さないと脱臼を繰り返すので注意しましょう。

【膝】

日常的に体重がかかっているので、障害が発生しやすい場所の一つです。投げ技や、もつれた時に土俵下に落ちて半月版損傷や靭帯損傷を起こしやすくなっています。

【肘】

かんぬきに決められた時や小手に振られた時に傷めやすくなっています。

◆レスリンで起こりやすい障害一覧

床上わずかな空間でフォールの攻防を繰り広げるレスリング。相手の技から逃れるために肩や首を軸にして身体をひねる事が多く、それが原因で障害やケガが発生しています。

レスリングで発生しやすい外傷や障害は以下の通りです。

【肩】

片方の肩だけ浮かした状態で体を起こそうとするので、脱臼や亜脱臼が発生しやすく、またクセになりやすいため慢性的な肩鎖関節痛を抱える選手も少なくありません。

【首】

強くブリッジしたままひねってしまうため頚椎損傷や亜脱臼が発生する。ただし衝突や打撃が原因ではないので重症にならない傾向です。

【肘】

投げ技をかけられ、手から床に落ちてしまい靭帯損傷や肘関節脱臼を発生する。

肩関節の脱臼

相撲やレスリングなど格闘系スポーツに最も多い方の関節の脱臼について、詳しくみていきます。肩関節の脱臼とは、転んで手をついたり、肩が激しくぶつかったりしたときに上腕骨の骨頭(関節内に入っている部分)がずれたり(亜脱臼)完全にはずれたりするケガを指します。ひどいときは上腕骨の先端が折れることもあります。はずれ方には前方と後方、それに下方の3パターンがあって、圧倒的に多いのが前方の脱臼です。

もっともはずれやすい関節なのでいろいろなスポーツで発生し、それほど深刻なケガではありません。ただし、1度脱臼すると習慣になりやすいため、最初のときにしっかり治療しておくことが大切です。

【体の症状は?】

はずれた瞬間に強い痛みがあり、音がすることもあります。肩が変形し腕が上がりません。

肩峰(肩甲骨のてっぺん)が出っぱったり、はずれた上腕骨頭が少し前下方へ突き出すなど外観の変形もあります。腕を上げたり肩を動かしたりすることは痛くてできません。

亜脱臼のときは自然に骨が戻ってしまうので、痛みだけで変形はなく痛みも短時間でなくなります。しかし、放置するとクセになり慢性化する可能性が大きくなります。

【治療・処置】

節を元の位置に戻すのが先決なので、基本的には現場で整復します。しかし痛みの激しいときは無理をせずに病院で整復してください。仮にうまく整復できたとしても、骨折の疑いがあるので、整復後はすぐに病院の診断を受けてください。その場合も、応急処置として三角布で固定して病院へ行きます。

治療は保存的療法といって肩の固定が中心です。3~4週間程度固定して確実に回復させるのがポイントです。短期間で運動を再開すると習慣性脱臼になりやすく、手術に頼るしか方法がなくなってしまうことがあるので注意が必要です。

◆まとめ・・・脱臼のポイントは、治療と予防

相撲やレスリングは体の重さがかかる激しいスポーツ。中でも共通しているのは脱臼です。

脱臼の場合は「はめなおす」事が基本。仮にその場で整復に成功しても、病院での整復を選択するにしても、移動の際は三角巾での固定が必須です。治療でも肩の固定が療法になります。

固定は十分な回復期を経過させることが重要です。固定が外れた後は、不安感がなくなるまで方への負担動作を少なくします。その期間を経て後、予防策として肩の強化に入ることができます。

まとめると、「はめる→固定→休息・回復→予防のための強化」となります。トレーニングに通じるものがありますね。このルートで実践を試してみてください。

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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