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何もしてないのに、突然足が腫れてきた、激痛がやってきた。それが痛風です。

 2016/02/28 コラム チェックリスト 病名
この記事は約 6 分で読めます。

それは突然やってくる。痛風ってどんな病気?

痛風は圧倒的に成人男性に多い病気です。日本では、100万人を超す痛風患者※がいて、痛風予備軍である高尿酸血症を含めると成人男性の20%、600万人にのぼると推計されています。※H25年国民生活基礎調査より推計

『痛風』とは高尿酸血症が原因で激しい関節炎(痛風関節炎)を伴う症状になる病気のことで、それによる痛みの発作を『痛風発作』と呼びます。高尿酸血症とは、体内の尿酸値が7.0mg/dl以上の状態を指します。

症状の出方は前述の通りで、「前触れもなく、足の親指あたりが腫れてきて、痛くて眠れなくなった」というのがよくある痛風発作の起こり方です。腫れは、足の親指付近に腫れが出る人が最も多く、そのほかに、足の甲、くるぶし、アキレス腱、手の甲、ひじなどに出る方もいます。

足の腫れ

▶リンク:尿酸値が高い、と言われたら知っておきたいこと。下げるためにできること。

尿酸って何?

そもそも尿酸って何でしょう?尿酸とは、細胞やエネルギー代謝の過程で出るゴミにあたるものを指します。

通常、尿酸は、尿や汗と一緒に排出されていますが、何らかの理由で体内にとどまり、尿酸の濃度が上がると、「尿酸値が高い」と言われる状態になります。それを「高尿酸血症」と呼びます。ちなみに尿酸値は血液検査で計ります。値は簡単にわかります。

尿酸値が高い、といわれる尿酸の基準値は、7.0mg/dlと先ほどお伝えしましたが、それは7.0mg/dlから血液中で尿酸の「結晶化」がはじまるからです。

血液検査

痛風って、なぜ起こる?どう起こる?

それにしてもなぜ、足が腫れ、激痛が突然やってくるのでしょうか?それは痛風が起こるまでの仕組みをみると分かります。実は、痛みは突発的に起こりますが、痛風自体は長年かけてゆっくりと準備された状態なのです。

痛風という病気は、このように進行していきます。

1、数年間、尿酸値が高い状態が続く(体への症状なし)

2、ある日突然、痛風発作が起こる

3、痛みが引いて放置すると、全身発作、ほかの生活習慣病を起しやすくなる

上記の3項目、順を追って詳しくみていきましょう。

1、数年間、尿酸値が高い状態が続くが、体への症状なし

尿酸値の濃度は、尿酸の生産と排泄のバランスで決まります。このバランスが何らかの原因で乱れた時に尿酸値が高くなります。

尿酸値が高くなっても、すぐに体に症状は現れません。ですので、高尿酸血症になっても、初期症状はない、ということになります。そのため高尿酸状態は気が付かれず、そのまま放置されることが多くなります。この放置されている間、体内では、排泄物である尿酸が結晶化し、関節などにたまっていきます。

2、ある日突然、痛風発作が起こる

時間をかけて、関節に溜まっていった結晶が量的に多くなってくると、次に「はがれ落ちる」という現象がおこってきます。はがれおちた結晶に対して、白血球が「異物だ!」とみなし、攻撃をしかけます。

白血球はウィルスや細菌などの外敵を殺すために攻撃をしかける役割なわけなので、当然ですが攻撃するときは全力で来ます。この攻撃が一点集中して足(関節周り)で起こっている、それが痛風発作です。(なお痛風発作は、高尿酸血症のすべての人に起こるわけではありません。)

発作部位は、赤くはれる、熱を帯びる、激痛がある、といった特徴があります。痛みが出るのは、ほとんどがひざから下です。ほとんどの場合、1回の発作で痛むのは1か所です。

応急処置としてできるのは「患部を冷やす」ことでもこれはあくまで応急処置です。歩けないことも多いとは思いますが、なるべく早く病院で診てもらってください。

3、痛みが引いて放置すると、全身発作、ほかの生活習慣病を起しやすくなる

薬で発作の痛みは引きますし、実は、発作後に放置してもしばらく我慢していると痛みは引いていきます。ただ発作は収まっても、尿酸値が高い状況が改善されたわけではありません。

尿酸値が高いまま放置されるとどうなるのでしょうか。
痛風発作は、それ単体で命にかかわることはないのですが、高尿酸状態を放置することで、発作間隔が短くなって、さらに繰り返しやすくなります。また合併症、全身症状への展開、他の生活習慣病を起しやすい状態へとなっていき命への危険性が出てきます。

痛風以外に展開していく全身症状としては、慢性関節炎、痛風結節、尿路結石、腎障害高血圧などがあげられます。また、他の病気と併発するものとしては、脂質異常症、糖尿病などがあります。また高血圧、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞へもつながっていきます。

というわけで、放置していくと様々な症状を増やしながら進行していきますので、痛風発作がなくても、高尿酸血症と分かった段階で、尿酸値を下げバランスを取る治療やアプローチをお勧めしたいところです。

痛風発作を起こすにはタイミングがある。こんな時やばい

高尿酸血症でも、すべての人が痛風発作を起こすわけではない、と言いましたが、ではどんな人が痛風発作を起こしやすいのでしょうか?高尿酸血症の上に、この5つの条件が重なった時、痛風が出やすくなる傾向がわかっています。

 

□  大量に飲食した

□  汗をたくさんかいた

□  身体を冷やした(冬の薄着、夏のエアコン、両方です)

□  きつい靴を長時間履いた

□  ストレスが多すぎる、忙しすぎる状態が続いた、また強いストレスを最近感じた

 

いずれも、体にとって極端な負荷がかかった場合に出やすいのですね。痛風発作が起こりやすい条件。心当たりはありますか?

まとめ 痛風に痛みは応急処置、高尿酸血症には気長な対応と治療

痛風発作が出たら、足に何か触れただけでも痛み、眠れないことも多いと思いますので、痛みを止めて処置をするためにも、病院で診断を受けてください。

痛風の痛みが引いても、高尿酸血症状態が改善されるわけではありません。尿酸値が高い状態が改善されない場合、痛風の発作は繰り返します。尿酸値の改善は、お医者さんと一緒に取り組みましょう。

尿酸値を下げるために取り組み、プリン体量一覧などはこちらからどうぞ
▶ 尿酸値が高い、と言われたら知っておきたいこと。下げるためにできること。

 

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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