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【イクメン入門講座】その2・子供の誤飲・対応方法まとめ

 2016/05/20 コラム 子供
この記事は約 7 分で読めます。
誤飲 赤ちゃん

何でも口に入れたり食べたりしたがる子供は、驚くようなものを口にすることがあります。

東京消防庁では毎年約1000人が救急車で運ばれている、という統計を出しています(2010-2011年)。頻繁にある誤飲ですが、何を口にしたのかによって、至急口から出した方がいい場合と、吐かせないほうがいい場合、対応が異なります。イクメン入門第2回目は、緊急時に知りたい誤飲時の対応方法についてまとめました。

誤飲が疑われるサイン5つ

まずは、「何か、おかしなものを口にしたかも・・・?」と気が付くところからはじめていきますね。

誤飲・窒息が疑われるサインとしては、

1、苦しそうにもがいている、
2、口や呼気に異臭がある、
3、口の周りに色素沈着やただれがある、
4、意識障害がある、
5、呼吸困難がある

などが挙げられます。このようなサインを見つけた場合、迅速な対応が必要です。

誤飲の確認4つの手順

続いて、今挙げたような態度が見られた場合、つまり誤飲・窒息が疑われる子どもについて、確認する手順は以下の4点です。

1、口の中を確認後、口の中に残っているものがあればかき出します。

2、何を、いつ、どれくらい飲んだ可能性があるのかを確認します。飲んだ物、飲んだ量によって対応が違うため、できるだけ正確に把握します。

3、医療機関を受診する場合、飲んだと思われる物が残っていれば、受診時に持参します。

4、子どもの顔色と機嫌を観察します。また、咳き込んでいないか、嘔吐をしていないか、呼吸困難を起こしていないかを観察することも重要です。窒息に気づいた場合には、ただちに救急の処置が必要になります。救急車は119番です。

誤飲しても少量であれば問題のないものリスト

誤飲した物がどのようなものであっても、誤飲後に注意深く観察することが必要です。なお、誤飲した物の種類と量により、対応の緊急度合いは変わってきます。

誤飲しても少量であれば問題のないものには、次のような例があります。

接着剤、ろうそく、白墨、香水、絵の具、マジックインキ、鉛筆、ハンドクリーム、ボールペンのインク、体計の水銀(水銀には有機水銀と、無機水銀があります。体温計に使われている水銀は無機水銀であり、誤って飲み込む程度の量であれば、人体に影響はありません)

誤飲した時に自宅でできる対応方法

続いて、誤飲したものが何かわかった時に、自宅でできる対応方法をまとめました。

誤飲した物 対応
シャンプー、リンス、洗濯用洗剤 水や牛乳を飲ませ、吐かせて、様子を見る、症状が出れば医療機関を受診する
消しゴム、小さなおもちゃ、硬貨、ボタンなどの固形物、磁石1個 様子を見て、症状が出れば医療機関を受診する
塩素系漂白剤

(※)塩素系か酸素系によって対処法が変わるため、容器を持参すること。

水や牛乳を飲ませ、吐かせず、医療機関を受診する
トイレ用洗剤(塩酸、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム)、マニキュア、除光液、樟脳しょうのう、クレゾール、ガソリン、鋭利な物(画鋲、ホチキスの針など)磁石2個 吐かせず、医療機関を受診する
たばこ

※誤飲事故第1位

濡れたたばこ→特に乳幼児はすぐに受診

2cm以下のたばこは、誤飲しても問題はありません。

一方、濡れたたばこやニコチンが溶け出た水の誤飲は、非常に危険です。

乳幼児の場合は、たばこ1本に含まれる量のニコチンを摂取すると、急性中毒を起こします。

誤飲後30分くらいで嘔吐、腹痛、めまい、けいれんなどの症状が見られることがあります。

誤飲の量がわからない場合は、まずは医療機関を受診しましょう。誤飲後4時間くらい様子を観察しても症状が出ない場合には、問題はありません。

ナフタレン(防虫剤)

※誤飲事故第2位

ナフタレンは、2g程度でも命にかかわることもあります。誤飲に気づいたら、すぐに水を飲ませて吐かせます。

なお、牛乳は、ナフタレンの吸収を早めるため、絶対に飲ませてはなりません。

電池

※誤飲事故第4位

アルカリマンガン電池は、アルカリ性の物質が漏れ出すと胃を侵食し、穴を空ける危険があります。また、リチウム電池は、消化管の中で放電し、30分~1時間で電気分解によりアルカリ性の液体を作ります。この液体が消化管の壁に潰瘍を作ります。

誤飲に気づいたら、吐かせずに、迅速に医療機関を受診します。

吐かせない方がいいものがある、ということに注意してください。理由は、マニキュア、除光液、ガソリンなどのすぐに気体になりやすい性質のもの(揮発性のもの)は、水や牛乳を飲ませて吐かせると、気管に入って重症の肺炎を起こすことがあるためです。

このため、揮発性の高いものの誤飲時には、吐かせずに医療機関を受診します。なお、口唇にやけどが見られたり、よだれがたくさん出ていたりする場合は、腐食性毒物(硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムなど)を誤飲した可能性があります。腐食性毒物の場合は、絶対に吐かせてはなりません。迅速に医療機関を受診しましょう。

毒物を飲んだ場合の連絡先

毒物を飲んだ場合の連絡先として、公益財団法人日本中毒情報センターの「中毒110番・電話サービス」も有効です。化学物質(たばこ、家庭用品など)、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性中毒について、実際に事故が発生している場合に限定し、一般の人に無料で情報提供を行っています。

・大阪中毒110番(24時間対応):072-727-2499

・つくば中毒110番(9~21時):029-852-9999

窒息の対応

異物がノドや器官につまって、息ができない、これが窒息です。その場合、異物を取ります。

緊急時の緊急時の異物除去法には、背部叩打法、胸部突き上げ法、腹部突き上げ法があります。ただし、乳児の場合は、背部叩打法のみを行い、幼児の場合は、背部叩打法または胸部突き上げ法を行います。

①背部叩打法 

子どもの上半身を前かがみにさせ、後方から抱えます。背後から左右の肩甲骨の間を手掌基部(てのひらの最下部)で強く叩きます。乳児の場合は、片腕の上にうつ伏せ(お腹が下)にさせて、頭部をやや下げた状態で支えます。そして、もう片方の手で背中を強く叩きます。

背部叩打法

②胸部突き上げ法 

乳児に対して行う場合は、あお向け(お腹が上)に抱え、胸骨の下半分を2本の指で圧迫し突き上げます。幼児以上の子どもに行う場合は、後ろから抱え、片手で拳をつくり、胸部に当て、もう片方の手で拳をつかみ、すばやく手前上方へ突き上げます。

胸部突き上げ法

子どもへの一次救命処置

子どもの心停止は、呼吸停止が原因であることが多いため、早急に人工呼吸を開始することが重要です。すみやかに、一次救命処置を行います。

①反応の確認

異常が起きている子どもを発見したときには、迅速に反応の確認を行います。肩または足底(乳児の場合)を叩きながら大声で呼びかけて、反応を確認します。呼びかけても反応がなければ、周囲の助けを求めます。

②気道の確保と呼吸・心停止の確認

呼びかけても反応がなかった場合、すばやく気道を確保し、10秒以内に正常な呼吸があるかを確認します。気道確保のために、頭部後屈顎先挙上法を用います。

気道の確保

 

③胸骨圧迫と人工呼吸

上記②により、心停止が確認された場合は、ただちに胸部突き上げ法により胸骨圧迫を開始します。子どもの胸骨圧迫は、片手(または両手)で、1分間に100回以上の速さで絶え間なく行います。

乳児の場合は、2本指法で胸骨圧迫を行うこともあります。両乳頭を結ぶ線の少し足側を目安とする胸の真ん中を2本指で押して、胸の厚みが3分の1程度になるまで圧迫します。胸が元の位置に戻るまで圧迫を十分に解除し、これを繰り返します。

胸骨圧迫の方法

人工呼吸の手順

胸骨圧迫後、人工呼吸を開始します。口対口法または口対口鼻法(乳児の場合)を用います。

1秒かけて胸郭が軽く上がる程度の速度・量の息を吹き込み、口を離して息を出させます。これを2回(2分間)行います。

胸骨圧迫30回と人工呼吸2回のサイクルを、5サイクルほど繰り返した後、消防署(119番)に通報します。

この胸骨圧迫と人工呼吸のサイクルを救助者1人の場合は30:2で胸骨圧迫、人工呼吸を2分間(約5サイクル)行ってから通報します。

通報中も心肺蘇生を継続します。救助者2人の場合、1名は人工呼吸、もう1名は2本指法で胸骨圧迫を、15:2の配分で継続します。

人工呼吸の手順

まとめ・・・ただちに医療機関にいくものと、様子を見てもいいものに分かれる

子供が誤って異物を飲み込んでしまった時、飲み込んだものによって対応方法がかなり異なるのがお分かりいただけると思います。

ただ不安だったり判断が分からない場合は、無理せず医療機関に相談しましょう。液体の場合、飲み込んだと思われるものを一緒に持っていくのを忘れずに!

参考文献:  子どもの保健検定2級・3級公式テキスト(日本医学検定協会 )

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エイド

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みんな、元気?エイドママです。

子供をいっぱい見てきたから、子供の病気や急な対応はあたしに任せて~。みんなまとめて面倒みるわよ!栄養士の資格を生かした料理も大の得意。美味しいからみんなで遊びにきてね。

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