ピーナッツを食べると血管が強くなる?癌にならない?
Contents
かなり信憑性が高い!ピーナッツの論文
今回の論文は、どんなものかと言うと、『ピーナッツを食べると心臓血管の病気やがんにならずに長生きできるかも』という論文です。論文タイトルを見ても、前回より、より具体的な報告ですね。
しかも、この論文は今まで世界に発表されてきた論文を集めて検討したもので、かなり信憑性がありそうですよ。この論文は2016年に「BMC Medicine」に掲載されました。詳しく見ていきましょう。
論文名:「Nut consumption and risk of cardiovascular disease, total cancer, all-cause and cause-specific mortality: a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies.」
Aune D, Keum N, Giovannucci E, Fadnes LT, Boffetta P, Greenwood DC, Tonstad S, Vatten LJ, Riboli E, Norat T. BMC Med. 2016 Dec 5;14(1):207.
2016年までに発表されたすべてのナッツ研究を検討した
この論文は今まで発表されてきた論文を集めて検討したものなのですが、どのような論文を対象に検討されたのか、方法はどうなのかを見てみましょう。
【対象・方法】
PubMedとEmbaseという薬学・医学文献検索ツールに2016年7月19日までに発表されていたナッツの消費と心血管疾患、全てのがんとの関連を調べた前向き試験を検討の対象とした。その研究の数は、20個の研究(29誌の出版物)あり、それらをすべて検討した。
注目すべきは今まで、全世界で発表されてきた「ナッツ消費と狭心症・心筋梗塞、脳卒中、循環器疾患、がん、死亡率との関連」についての論文をすべて検討対象としたというところです。
最初に検索した時の数は、なんと48,380件にもなったそうです。その中から、信頼できる20個の前向き試験のみで検討した結果がこの論文です。
量はやっぱり1日28g
前回、お話した「ピーナッツを食べると長生きできる?」の論文も、今回の検討に入っているので、前回より、より大規模で、より信頼できる結果だと考えていいと思います。
ちなみに前回の調査は、「30年間かけて12万人を調査した健康調査」。今回の調査がこれより大規模とは…なんか、興奮してきましたね。早速、結果を見てみましょう。と、その前に。ナッツの食べる量は、前回、お話した「ピーナッツを食べると長生きできるかも」の論文と同様に1日28gでした。この量ならば現実味がありますね。
また、ピーナッツとそれ以外のナッツで検討してみても同様の結果になったそうです。
驚きの結果。血管を強くして、がんの発症リスク、死亡率も下げた!
そして結果は…….
【結果】
ナッツの摂取量の28グラム/日の増加につき各病気のリスクがどうなるかを記載
狭心症・心筋梗塞 29%低下
脳卒中 関連なし
循環器疾患 21%低下
がん 15%低下
死亡率(全ての病気による) 22%低下
ナッツの摂取量の28グラム/日の増加につき各病気による死亡率がどうなるかを記載
呼吸器疾患による死亡率 52%低下
糖尿病による死亡率 39%低下
神経変性疾患による死亡率 関連なし
感染症による死亡率 75%低下
腎臓病による死亡率 関連なし
結果はすばらしいものでした。
病気を発症するリスクに関しては、心臓の血管や循環器の病気、がんと関連しており、これらの発症リスクを下げることがわかりました。そして、全ての病気による死亡率が低下する可能性がありました。
ナッツ(ピーナッツ)は、血管を強くして、がんも減らしてくれる可能性があるということですね。これは長生きもできるかもです。
まとめ ピーナッツは世界中440万人を救う?!
特に、呼吸器疾患、糖尿病、感染症による死亡率を低下させていました。
そしてこの論文を書いた著者はなんと「世界中の440万人の死因がナッツを20g以下しか食べていないから」だと言っています。ナッツを食べれば世界中の400万人以上の人を救えることがあるかもしれないのです!
ただ、この検討をするにあたり、アフリカや中東、西アジアを含む若干の地域のナッツの摂取量の論文はなかったそうで「全世界の人にナッツを食べると良いかどうかを言い切るには微妙だ」とは言っていますが。
ピーナッツの不思議な力についてのお話でした。
では、また面白い論文があったら紹介します。