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大腸癌(大腸がん)

 2016/03/04 病名
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大腸がん

大腸癌(大腸がん)

【どんな病気?】

大腸がんは、大腸にできる悪性腫瘍です。
大腸は、消化吸収された残りの腸内容物からさらに水分を吸収し、便を形成する臓器です。長さは、約1.5mあり、盲腸からはじまり上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門に分けられます。なかでも、日本人の場合、S状結腸、直腸に大腸がんが出来やすいと言われています。大腸がんになりやすい年齢は、60歳が一番多く次いで70歳、50歳と続きます。

大腸がんは、わが国において、肺がん、乳がんなどとともに増加の著しいがんの1つにあげられます。その理由としては「戦後の日本人の食生活が欧米化してきたから」と言われています。2015年8月、国立がん研究センター「がん診療連携拠点病院」(409施設)の2013年の診療実績が出され、初めて「大腸がん」が1位となりました。

大腸がんの多くは、良性ポリープ(腺腫)が大きくなって発生してきます。定期的に大腸内視鏡を行い、ポリープが小さいときに予防的に切除を行うことで、がんの発生をある程度、予防できると考えられます。大腸がんの予防のために、定期的な検診の普及による早期発見・早期治療が強く叫ばれています。

大腸がん 円グラフ

【体の症状は?】

早期がんでは症状はほとんどありません。進行すると、便秘がち、お腹が張る、排便時に出血する、下痢が続く、体重が減った、便潜血陽性、重い感じの腹痛が続く、便が細い(出にくい)などが認められます。

【検査】

大腸がんの検査には便潜血検査下部消化管造影(バリウム注腸検査)下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)があります。

便潜血検査:便の中の見えない血液を試薬で調べるのが便潜血検査です。食事で採った肉などに反応してしまう試薬を使っていた時代もありましたが、現在はヒトの血液のみに反応する試薬を用いています。陽性となった場合は精密検査をすることになっています。しかし怖いのは大腸の病気があっても出血していなければ陽性とはならないことです。また出血していても採便した部位に血がついているとは限りません。また検査法の不備で陰性となることもあります。
いろいろ工夫されていますが、概略的にたとえ2回法でも進行がんで5~10%、早期がんで40~60%が便潜血陰性になるとの報告もあります。早期の大腸がんやポリープでは出血により便検査が陽性になることは逆に珍しいのです。つまり、便潜血がもしがんにより陽性になっているとしたら、そのがんはもはや出血までしている進行がんの可能性が高いことになるのです。
また、痔でも陽性になってしまいます。自分で自覚症状の無い痔の方の頻度はかなりいらっしゃるので、不必要なガンの心配、不必要な検査がおこなわれることになることも事実です。

下部消化管造影(バリウム注腸検査):バリウムを肛門より注入し、全大腸を造影し、レントゲン撮影をして病変を診断します。ポリープやがんが疑われたときは下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を行います。

大腸がん(造影)

大腸がん(造影)

下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ):「便検査」は簡単な検査なので広く普及していますが、精密検査を担当する内視鏡専門医の不足が現在の状況です。また不慣れな大腸カメラの挿入から患者様に苦痛を与えてしまい、「大腸カメラは痛い!」というイメージを植え付けてしまったことも事実です。

前述のような問題から大腸の専門施設(大腸を専門に扱っている施設は少ないです)が患者さんに便潜血検査を勧めることはまずありえません。特に大腸がんチェックにより大腸がんの心配が強い方は便検査でなく最初から精密検査をされることをお勧めします。
もっとも信頼性の高い精密検査は大腸の内視鏡検査です。大腸カメラで、ポリープを発見した時は切除できるものであれば内視鏡で切除することが可能です。また、切除できない大きさのがんを疑う場所があった場合には、病理組織検査(組織を取って顕微鏡で診断し)で確定診断をつけます。

大腸がん内視鏡

さらに詳しく→ 内視鏡検査って何をするの?

【治療・処置】

内視鏡手術(内視鏡下ポリープ切除術、粘膜切除術):20mm未満のポリープ状に発育している粘膜までの癌に対しては内視鏡的ポリープ切除術を行います。粘膜の下の層(粘膜下層)までに癌がある場合は、粘膜切除術を行います。粘膜下層までの深さになった癌は、その深さにより粘膜切除術を行ったあとに追加治療として外科的手術が必要になります。

外科的手術:リンパ節転移が疑われる大腸がんの治療には外科的手術が行われます。大腸切除+リンパ節摘出(郭清)術が行われます。
外科的手術には、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。腹腔鏡下手術では腹部に約1cm程の穴を3、4箇所開け、そこから腹腔鏡や鉗子類を挿入し、がんを部分切除します。一般の開腹手術よりおなかを大きく開けなくて済むため、患者の負担は少なく回復も早い治療法です。

化学療法: いわゆる「抗がん剤」です。進行がんや再発がん、転移の激しいがん、手術不可能な場合に適応されます。大腸がんに対する抗がん剤は、その種類と組み合わせが沢山あります。日進月歩の分野ですので、担当の医師とよく相談することをお勧めします。

術後補助化学療法:外科的手術を施行した後、再発予防を目的として行われる化学療法です。 術後補助化学療法に関しても、毎年新しい見地の情報が次々と出てきています。

大腸がんは比較的おとなしい性質のがんで、胃がんや肺がんなどと比べると成長が遅く、リンパ節転移も少ないので、早期発見によりほぼ100%治ります。
がんの深達度、転移の有無により進行度(Stage ステージ)が程度の軽いものから1-4に分類されます。術後5年生存率をみると、Stage1で結腸がん95.1%、直腸がん84.1%と良好ですが、Stageが進むにつれて生存率が悪くなっています。がんの早期発見と早期治療がいかに大切であるかがよくわかります。

大腸がん 折れ線グラフ 結腸がん

大腸がん 折れ線グラフ 直腸がん

 

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。


僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。


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