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裂肛(切れ痔)

 2016/03/08 病名 肛門病
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裂肛(切れ痔)

◆裂肛(切れ痔)

【どんな病気?】

肛門粘膜の切れたものが、裂肛(れっこう:切れ痔)です。硬い便の通過や強いりきみで、肛門が無理に広げられることにより起こります。裂肛は女性に多いと言われています。これは、ダイエット目的の食事量制限からくる便秘に悩んでいる女性が多いことと関係があると言われています。

【体の症状は?】

排便時と排便後に強い疼痛があり、鮮やかで真っ赤な出血をします。排便時には疼痛(とうつう:うずく痛み)が少なく、排便後45分過ぎぐらいに次第に痛みが強くなることが多くみられます。慢性的な裂肛症状を繰り返すと次第に肛門は狭くなり、より一層、肛門粘膜は切れ易くなります。た、裂肛部の炎症により肛門粘膜に炎症性のポリープができる場合もあります。

◆裂肛(切れ痔)の分類

  • 急性裂肛

肛門上皮の裂傷は軽い傷で浅く、排便時に痛みや出血を伴います。ほとんどが数日で回復します。

  • 慢性裂肛

長期間切れた状態が続くと、傷は潰瘍化して深くなります。裂肛の外側に見張りいぼができたり、肛門ポリープができることがあります。肛門が硬く狭く肛門狭窄が起きてきます。

裂肛

【検査】

問診:問診とは医師の質問に患者が答えることで症状を判断する診療方法です。痛み、出血、脱出物の有無やその状態、腫れ、かゆみ、分泌物やその他の症状について調べます。 便通の状況や過去の病歴や普段の生活のリズムについても聞きます。裂肛の場合、痛んだ時の便の性状、状況を詳しく調べることが重要です。

直腸/肛門指診:肛門から指を挿入し届く範囲での直腸と肛門の中を触って診察します。最も基本的な診察法で、肛門の疾患で来院されたすべての患者が対象になります。裂傷の有無や位置、肛門狭窄の有無などが分かります。

肛門鏡:肛門に筒型もしくは二枚貝のような道具を挿入し、肛門内を直接見て診察します。多くの肛門専門施設ではデジタル(電子)肛門鏡を設備しており、患者様自身その映像をみることができ、施行しながら詳しい説明を受けられます。鮮明な画質で自分自身の目で見ることができ医師の病気の説明により一層の理解が可能です。

大腸内視鏡:肛門から出血した場合はすべての患者様が肛門からの出血とは限りません。40代以上の場合は大腸がんや大腸ポリープの可能性を除外する必要があり、若年者は潰瘍性大腸炎などの慢性的な腸炎が疑われる場合検査が必要です。

【治療・処置】

初期の排便時痛や出血の段階では、便を軟らかくし、軟膏を塗れば改善しますが、慢性化し潰瘍を形成したり、肛門が狭くなる(肛門狭窄)と肛門を拡げ、慢性的に切れる粘膜の切除術が必要になります。

痔疾患の約80%は薬の治療や生活習慣、排便習慣の改善で治ります。しっかり朝食をとる、水分や食物繊維をとる、刺激物やアルコール飲料を取り過ぎないなどを心がけることが大切です。便意を我慢せずにトイレに行き、トイレでの長居は避けることです。その他、湯船につかって体を温め、血行を良くすることも大切です。

薬では根治が難しいと考える場合は手術などの治療が必要となります。

裂肛↑写真はタップすると大きくなります

◆切れ痔の治療

急性裂肛の治療まず便通の改善を行ないます。軟便剤にて便をほどよい軟らかさにして、排便時の痛みを軽減し、裂肛の悪循環を断ち切ります。

また軟膏(座薬)により裂肛の浮腫みを抑えます。痛みに関しては鎮痛薬の使用、痙攣性の痛みはニトログリセリンを含む軟膏の塗布があります。

慢性裂肛の治療便通の改善だけでは症状は改善されない、過去に治療歴があり改善されていない場合や痛みは強い場合は、肛門形成術(単純に裂肛あるいは潰瘍を合併するいぼ痔やポリープとともに切除した後、創傷遅延の予防と狭窄の解除を目的として同時に皮膚を移植する:SSG法を追加する)を行ないます。肛門括約筋緊張の強いときや肛門狭窄(こうもんきょうさく)が強いときは、側方内括約筋切開(LSIS)や、直視下に内括約筋切開を行ないます。

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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