何日出ないと便秘になるの?意外と知らない便秘の定義

何日出ないと便秘になるの?意外と知らない便秘の定義
旅行がある、イベントがある、生理前だ・・・特に女性は、日常のちょっとしたことで排泄のリズムが変わりがちです。女性のみなさんなら旅行先で「まったく出ないわ~」「私今日ようやく出たよ」などの会話を繰り広げたことが一度はあると思います。
そんな会話をしてみると、人によって様々な排便リズムをもっていることがわかります。2~3日出なくても平気な人、毎日出ても「もっと出そう」という残便感のある人。感覚は実に様々です。
そもそも、便秘、とは「何日出ない状態」という定義があるのでしょうか?
◆便秘の定義は5ポイント
日本内科学会の定義では、便秘は「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある場合」となっていますが、実は詳細に日数や回数が決まっているわけではありません。
みなさんがすでに感じているように、排便の回数には個人差が大きく、便秘をある期間の排便回数で定義することは非常に難しいからです。
便秘とは一般的に、『排便が順調に行われない状態』のことをいいます。通常は「その人の排便習慣からみて、異常に排便の遅延した状態」と定義され、以下5ポイントの状態の組み合わせを「便秘」と呼び、「自然な排便のメカニズムが乱れ、便が長時間腸内にとどまり、不快に感じる状態」と位置づけられます。
1、排便の回数の少ないもの
2、便の量自体の減少
3、水分の少ない硬い便
4、排便困難(うまく出せない)
5、残便感や腹部の張った感じ
◆便秘の原因
便秘の原因は、多岐に渡りますが、大きく分けて、明らかに便の通り道に通過をさえぎるものがある場合(器質的便秘)と、大腸の動きが悪い場合(機能的便秘)があります。大切なのは、器質性便秘を見逃さないことです。
器質性便秘:腸管の閉塞を引き起こすがんやポリープなどの腫瘍やクローン病のような炎症により便秘になっているものです。下剤などでは軽快せず、専門の治療が必要になります。大腸がんや治療の必要とする腸の炎症などを見逃すと命の危険が出てくることがあります。便秘を認めた時にまず、否定しておかなければならない重要な便秘の種類です。
機能性便秘:習慣性便秘とも呼ばれ生活習慣や食生活が原因で起こる便秘です。疲労やストレス、運動不足、食物繊維の摂取不足、加齢、経産婦、腹筋の低下など様々な原因があげられます。
その他の便秘:薬の影響で便秘になることもあります。抗精神病薬、抗けいれん約、筋弛緩薬などです。その他、糖尿病、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、神経筋疾患でも便秘が起こることがあります。
◆便秘治療の三原則
便秘の治療には、三原則があります。よく言われることなのでご存知の方は多くいらっしゃるかもしれません。
1) 生活習慣の改善
2) 食生活の改善
3) 便秘薬の使用
※これらを行っても効果が見られない場合は専門医による検査と診察が必要です。
ではそれぞれについて詳しくみていきましょう。
1)生活習慣の改善
排便習慣をつける:朝起きると腸の運動が促され、便が動き始めます。さらに、朝食を摂ることで腸の運動が更に促進されます。ですから、きちんと朝食をとって、その15分~30分くらい後に排便をする習慣をつけましょう。毎日の規則的な排便のリズムにより、便意が起こるようになり、便秘が解消されます。
軽めの運動を心がける:運動することで血液循環が良くなって、大腸の運動が活発になります。また便を押し出すために必要な腹筋の強化も期待できます。
便意を逃さない:便がしたいときに我慢を繰り返していると、直腸・結腸反射の機能がだんだん鈍くなり便意をもよおさなくなってしまいます。神経の働きが鈍くなり、便意を感じにくくなることによって腸の運動自体も弱まり、便秘が常習化します。
ストレスを貯めない:精神的ストレスが積み重なると自律神経の働きが乱れることにより腸の働きが乱されて、便秘を起こしやすくなります。ストレスを貯めずに上手に発散することが必要です。また、便秘を気にしすぎることもストレスになるので、気長に構える柔軟さ(気持ちの余裕)も必要です。
2)食生活の改善
規則正しい食事:朝、昼、晩の食事を規則正しくとることで排泄もスムーズに行われます。偏った食事は便秘を招くもとになります。栄養バランスに気をつけましょう。
水分:適度な水分の摂取が必要です。水分の摂取が少ないと当然、大腸で水分が吸収されて便が硬くなります。
食物繊維の摂取:食物繊維は水分を吸収して便を柔らかくし、便の量を増やしてくれます。スムーズに排便するには、それなりの量が必要。推奨される摂取量は1日20~35gです。食物繊維の多い野菜や果物、海藻類をたっぷりとることが、便秘予防の決め手です。
ビフィズス菌の摂取:人間の腸内には約100種類、100兆ともいわれる細菌が住んでいます。この細菌の中には、健康に有害な働きをする細菌(有害菌)もいれば、健康のために良い働きをする菌(有用菌)もいます。この有用菌の代表格が「ビフィズス菌」です。ビフィズス菌は増殖に伴う代謝産物として有機酸を産生し、その酸が腸の蠕動を促進します。またビフィズス菌はビタミンB群を合成し、腸管を通じて皮膚の内部に到達し、元気のない傷んだ細胞に働きかけ、細胞分裂を促す働きもあります。
オリゴ糖の摂取:今、オリゴ糖の働きが注目されています。微量でも腸内ビフィズス菌を増殖させ、善玉菌優勢のバランスの取れた腸内環境をつくる手助けをしてくれます。オリゴ糖は、口から入るとほとんどが大腸にまで達し、大腸に住み着いているビフィズス菌のエサとなります。
3)便秘薬の使用
便秘薬といってもたくさんの種類があります。これらの処方には専門医の診断が必要です。病院に相談して適したお薬を処方してもらってくださいね。正しい診断と処方は、結果的に体への負担の少なく短時間での回復につながります。長引く便秘は一人で悩まず病院を活用しましょう。
機械的下剤 | |
浸潤性下剤 | 便の表面張力を低下させ、便が軟化膨張して排便を容易にする下剤。単剤では効果が不十分のため刺激性下剤との併用することが多い。脂溶性ビタミン剤の吸収障害に注意が必要。
・効果発現(時間):8~12時間 ・バルコゾル |
膨張性下剤 | 多量の水分で膨張し、弛緩性便秘に有効。習慣性はないが作用は比較的緩徐であるため他薬と併用することが多い薬剤。最大効果は2~3日連用した後に出現うるが、妊婦では早流産を起こす恐れがあるので注意が必要。・効果発現(時間):10~24時間 ・バルコーゼ |
塩類下剤 | 習慣性が少なく長期服用も可能な薬剤。腸管内に水分を吸収させることによって便が軟らかくなり増大し、その刺激により便意につながる。大量の水分とともに服用すると効果的。
・効果発現(時間): 等張液または低張液(薄めた場合):1~2時間、 高張液:8~10時間・酸化マグネシウム(カマ)、マグラックス、マグコロールP |
糖類下剤 | 服用後、無変化のまま大腸に達し、浸透圧作用で効果を示す。また腸内分解で発生した有機酸により腸蠕動(ぜんどう)が進み排便を促す。糖尿病患者には中が必要です。 ・モニラック |
刺激性下剤 | |
大腸刺激性下剤 | 小腸より吸収され血行性または直接大腸に入り粘膜を刺激することによって排便を促す。
・効果発現(時間):8~12時間(座薬は約5時間)・ センナ、アロエ、プルセニド、アローゼン、ラキサトール、ラキソベロン、 テレミンソフト、レシカルボンア、 |
自律神経作用剤 | |
a.弛緩性の便秘に副交感神経を刺激する薬剤: ワゴスチグミン、ベサコリン | |
b.痙攣性の便秘に副交感神経を遮断する薬剤: トランコロン | |
腸内洗浄剤 | |
大腸検査や腹部手術の前処置として腸管内容物の排除をするために使用。
・ ニフレック、マグコロール |
|
浣腸 | |
腸の蠕動(ぜんどう)運動を高めて排便を促す。浣腸薬には直腸を直接刺激する、グリセリンや、大腸を刺激する作用のあるビサコジルなどが配合される。激しい腹痛、悪心や嘔(おう)吐、痔出血がある人や、心臓疾患のある人は注意が必要。 ・グリセリン、薬用石鹸 |
◆まとめ 自分の体調を把握するレコーディングのすすめ
便秘の状態についてはご自身の感覚と把握が大切になってきます。自分の体調を知るためよく進められる方法に、レコーディング(記録する)があります。
女性が自身の体のリズムを把握するためにつける基礎体温表がありますが、あれがレコーディングです。食べたもの、体重、便の様子、それらを1サイクル(28日周期ぐらい)続けてみるだけで、自分のリズムがよくわかります。不妊、頭痛など様々な治療でも、レコーディングが用いられます。レコーディングダイエットということが昔流行りましたが、知ることで改善につながることはたくさんあります。
またこういうデータを持っていると、医療機関などの相談する際も、的確な診断につながります。長い人生のたった数か月、ご自身の体と丁寧に向き合ってみる機会を持たれること、おすすめです。
当サイトには、他の記事にうんちチェック、便秘度チェック、胃の健康度チェック、大腸がんチェックなど、ご自身で簡単にできるチェック項目をたくさん取り揃えました。ぜひご利用ください。
【関連記事】
▶ これって便秘なのかな?40秒でわかる!便秘度チェック
▶ 食欲がない、胸焼けが出る・・・これって何のサイン?30秒で知るあなたの胃の声チェック
▶ 下痢と便秘を繰り返すのは初期症状?初期発見だとほぼ100%治る大腸がんの初期症状10項
▶ 量、色、形で、あなたの健やかさが見えてくる3秒うんちチェック。量はバナナ何本分?