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思春期、妊娠中、更年期。女性特有の体、スポーツとの付き合い方

 2016/03/31 コラム スポーツ
この記事は約 5 分で読めます。
女性

女性には、女性特有の体の構造からみた障害や、年代別の運動との付き合い方があります。

スポーツ選手も一般の方も、一生にわたって楽しみながら運動&体と付き合える、そんなポイントをまとめました。

思春期にスポーツするということ・・・ダイエットと摂食障害

女性のスポーツでは、マラソン、体操、新体操、などやせ形、低体重を要求される種目があります。思春期に、部活動などでこれらの種目に取り組んだり、また自分の容姿を変えたい、やせたいと思いがきっかけで、摂食障害や生理不順といった症状がみられる場合があります。

10代のうちは目標に対してバランスが取れなかったり、極端に陥ったりしながら成長していく時期です。きっかけは太りたくない、という単純な小さなものであっても、体重減少という結果が出始めると、自分でコントロールが止められない状況まで進んでしまい過度にバランスを崩すことがあります。

摂食障害とは、文字通りに「食べられない」拒食症と、「過度に食べる」過食症を合わせた障害です。

症状は、標準体重の20%以上のやせがあり、食行動で不食、過食、かくれて食べるなどの行為が繰り返される異常行動がある、体重増加に恐怖感があり知識がゆがんでいる、無月経、低血圧、徐脈、他にやせる疾患がないなどがあります。

拒食の場合は、やせるために、ごはんや麺類、パンといった主食にあたる炭水化物を避け、サラダ、海藻、こんにゃくなどローカロリーのものを食べる傾向があります。また食べものを捨てる、嘔吐、下剤を使用するなど体に食べ物を極端に入れません。

過食は拒食の反動で見られることが多く、いらいらや抑うつ、自己嫌悪など精神的な混乱があります。

肉体は特に自分の行動で体重の増減などができ、また結果が目に見えるために、過度のコントロールに陥りやすい対象です。このような状態まで行くと本人の意思ではどうにもできない状態でもあります。

ですが摂食障害は、食事内容や体重減少、嘔吐物などに周囲が気付けば発覚することがありますが、本人が言わないと見つけることはなかなか難しいのが現状です。

摂食障害は重篤化することがあるので、早期発見と対応が重要です。病院で早めに相談し、家族など周囲の協力も合わせて焦らずに治療と経過をみていく対応が求められます。

月経による貧血と運動・・・スポーツ選手はスポーツしない人の○倍の鉄分が必要

貧血には種類があるのですが、月経による女性の貧血は、当然ながらほとんどが鉄欠乏性貧血です。

中でもスポーツ選手の貧血の原因は

1)減量による身体的ストレス(栄養摂取不良)

2)機械的衝撃や溶血因子の放出、酸素不足により赤血球膜が弱くなったことによる赤血球の破壊(溶血)

3)汗や尿からの鉄分の喪失、筋肉内に取り込まれる鉄分の増加による鉄分不足

などが主にあげられます。その上、男性とは違い月経血や不正子宮出血等による鉄の喪失があり、鉄欠乏性貧血に陥りやすいのです。貧血の程度を表すヘモグロビンの基準値は女性12g16g/d1です。女子スポーツ選手ではヘモグロビン値で10g以下に陥る前に、軽い貧血や鉄欠乏を発見することが重要であり、そのためには定期的な貧血検査が必要と考えられます。

スポーツ選手では一般の2~3倍の鉄分が必要です。バランスのとれた食事から十分な鉄分を摂取してほしいものです。

妊婦さんと運動・・・運動ってどこまでできるの?してもいいの?

妊娠中の運動は過度でなければ、出産という大仕事に向けて体力を落とさないようにすることと、どうしても太りがちになることによる肥満を予防する事などのメリットがあります。

しかし運動の強度が強すぎると、血液の流れが筋肉にほとんどまわってしまい、内臓にまわる量が減ってしまいます。内臓の血流量が減ると、子宮の血流量が減るため胎児へのストレスとなるので運動の内容(強度)が大きな問題となります。

妊婦さんへ最も勧められる運動としては、水泳、エアロビクス、ジョギング、サイクリング、ヨーガなどです。いわゆる無酸素運動は良くありません。脈拍数が120を超えないようにすることで全身の血の循環がよくなり、子宮への血流も保たれます。もちろん安全性を考慮して運動前後と運動中の母体心拍数、胎児心拍数を確認することも重要です。

妊婦

更年期障害と運動・・・運動に効果あり

更年期は卵巣機能の衰退により身体的にも精神的にもいろいろな症状が出現します。エストロゲンというホルモンの欠乏症状として、自律神経失調症状や血管運動神経失調症状に大別されます。

多くの医療機関ではこれらのホルモン欠乏症状に対し、ホルモン補充療法などが行われています。

ですが最近では、更年期障害における種々の愁訴は、日々の生活の中でスポーツ活動などのよる精神的解放にて克服できることもわかってきました。

当然それだけでは効果が不十分なときには軽い安定剤などの助けを借りてもいいと思いますが、何でもかんでも更年期障害と判断せず、定期的な器質的疾患のチェックをすべきことはいうまでもありません。

骨粗しょう症と運動・・・予防とバランス

骨粗しょう症とは、簡単に言うと骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。

骨を丈夫にするためには、食事(カルシウムを十分に摂取する事)、運動、日光(ビタミンDの活性化)とホルモンの内的要因があります。

運動はランニングなどにより地面と脚との着地衝撃による刺激で十分な骨量増加作用が期待できます。しかし、足腰が弱くなっているところにたくさん走っても、さらに骨が丈夫になるということは期待できず、疲労骨折や転倒による大腿骨骨折のリスクが増してしまうだけですので、あくまでも予防的な面での推奨になります。

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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