日本人女性980万人が該当している骨粗しょう症。ほおっておくとどうなるの? 骨粗しょう症との付き合い方

骨がスカスカになって、くしゃみや咳、ちょっとした転倒で骨折したり、背骨が弱くなることで、腰痛、背中が痛んだり曲がったりするのが骨粗しょう症。特に高齢者での骨折は寝たきりを引き起こすなどで加齢を促進させるため、骨折には特に留意が必要になります。
中高年の女性に多くみられる症状で、日本人では患者数がなんと1280万人(男性約300万人、女性約980万人)に上るとの推計があります(2005年人口構成からの推計)。
そんな骨粗しょう症は、予防と治療ができる病気です。この病気とどのように付き合っていけばいいのか、予防という観点からまとめてみました。
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骨粗しょう症、ほおっておくとどうなる?
骨粗しょう症は、治療と予防ができる病気です。治療には検査と診断が必要ですが、自覚症状がないために骨粗しょう症とは気づかないまま、放置したままでいることも多いと思われます。
放置しておくととどうなっていくのでしょうか?現れてくる症状をまとめました。
【背中の痛み、腰痛】
立ち上がる、料理や洗面、物を持つ、など日常の動作でも痛みが出ることがあります。急性の場合は脊椎圧迫骨折などで、背中や腰に急激な痛みが出ます。慢性の痛みの場合は、骨折による骨周囲の筋肉の変化や、背骨が弱くなり変形したことから来る筋肉の慢性の痛みとして現れてくることもあります。
【背骨の骨折】
背骨には軽度の「変形」から明らかな「骨折」まで、いろいろな段階の骨折がみられます。激しい痛みで動けなくなってしまうこともありますが、痛みのないこともありますし、慢性の痛みがみられる人もいます。
しかし、安静にして寝てばかりいると筋力が低下し、骨もさらに弱くなってしまう恐れがあります。通常コルセットで腰を固定し、座る・立つ・歩くという訓練が可能かどうか、主治医とよく相談するようにします。
【手首の骨折】
転んで手のひらをついたときなどにおきる骨折で、手術をしたり、手首から肘のあたりまでをギプスなどで2~4週間固定したりします。
【腕の付け根(大腿骨)の骨折】
転んで肘などをついたときにおきる骨折で、肩のまわりをギプスなどで固定します。
【太ももの付け根の骨折】
太ももの骨(大たい骨)の上端が折れやすい理由は、この部分は転んだときに力がかかりやすいからです。高齢者では転んだ時にとっさに手をつけないため、膝をついたり、しりもちをついたりして、この部分が折れてしまうのです。この部分の骨折は早く治して歩けるようにしなければ、寝たきりの原因になってしまうことが少なくありません、そのため治療には多くの場合手術を行います。手術後は早期からリハビリテーションを始めます。
骨が弱くなる原因は?
骨が弱くなっていくには、加齢によるものや、生活習慣によるものがあります。原因を知ると予防につながります。
加齢 | 性ホルモン産生の低下のほかに、年をとると骨芽細胞(骨をつくる細胞)の働きが弱くなります。また、腎臓の働きも低下するため活性型ビタミンDがつくられにくくなったり、食事の量が少なくなったりするため、カルシウムの吸収量が低下します。 |
カルシウム摂取量が少ない・偏食 | 乳製品をとっていなかったり、偏食して栄養バランスが偏ったりすると、食物からカルシウムなどが十分にとれなくなります。 |
閉経 | 閉経に伴って女性ホルモンが急激に低下すると、破骨細胞(骨を壊す細胞)の働きに骨芽細胞の働きが追いつかなくなります。 |
運動不足 | 適度な運動で骨に刺激を与えると骨は丈夫になります。反対に、運動しなくなると骨はだんだん弱くなっていきます。 |
日光に当たらない生活 | 日光に当たると、皮下でビタミンDが合成されます。ビタミンDは腸からカルシウムを吸収するために必要な物質です。 |
喫煙 | ニコチンは、腸からのカルシウムの吸収を阻害し、カルシウムを尿中に排出します。また骨芽細胞の機能低下も引き起こします。 |
嗜好品のとり過ぎ | コーヒーなどに含まれるカフェインのとり過ぎや、過度の飲酒は骨量の減少につながります。 |
極端なダイエット | 食事を極端に減らすダイエットは、栄養不足、特にカルシウム不足の原因になり、骨量の減少を招きます。 |
予防が大事・・・骨を丈夫にするためには?
骨を丈夫にするためには、食事(カルシウムを十分に摂取する事)、運動、日光(ビタミンDの活性化)とホルモンの内的要因があります。
運動はランニングなどにより地面と脚との着地衝撃による刺激で十分な骨量増加作用が期待できます。しかし、足腰が弱くなっているところにたくさん走っても、さらに骨が丈夫になるということは期待できず、疲労骨折や転倒による大腿骨骨折のリスクが増してしまうだけですので、あくまでも予防的な面での推奨になります。
転倒を防ぐのが骨折最大の予防・・・転ばない配慮で骨折がぐっと減る
老化による骨折は「脊椎圧迫骨折」という種類の骨折が最も多くなります。これは転倒やしりもち時に骨が折れるものですが、骨粗しょう症の場合は、くしゃみなどでも折れます。手足の骨折では手首付近の骨折が最も多く、ついで肩の骨折です。入院が必要になるのは脚部の大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折で歩けないために入院治療が必要になります。
転倒やつまずきは、たとえば家の中だけでも、段差を取るなど配慮があると十分に予防になり骨折が減ります。ご家族のご協力で骨折を減らすことは可能です。
若年層からできる骨粗しょう症対策とは
若いうちに骨量を増やすことは、骨粗しょう症対策としても大切なことです。
骨量を減らす危険性のある事柄から日常生活を見ると、こんなことが危険因子です。
・無理なダイエットや偏った食事からの栄養不足は、骨を作る上での栄養素が不足してしまいます。
・味の濃い食事を取ると、過剰な塩分が体外に排出される際、カルシウムも一緒に排出してしまうため骨の生成には不利です。
・加工食品(インスタントラーメンやお菓子)を摂取すると骨からカルシウムが溶け出すことにつながります。
・運動することで骨に負荷がかかり、骨密度が増加します。というわけで運動不足は骨密度が減る要因です。
やりがちな日常行為ですね。思わず反省してしまいます。
しかしバランスの良い食事と適度な運動は、今の自分そして将来の自分のどちらにも有用なことがわかります。心がけていきましょう。