下肢静脈瘤の強い味方!弾圧ストッキングってどんなもの?市販品と処方箋の違いとは?

下肢静脈瘤の強い味方、履くだけでOKの弾圧ストッキング。一体どんなものなのか?選ぶとき、履くときの注意点をまとめました。
弾圧ストッキングって?
下肢静脈瘤は、足の血管がボコボコふくれてくることが多い病気です。下肢静脈瘤の症状が見られたとき、下肢静脈瘤によるうっ血症状(足が重い、だるい、痛い、むくむ)に対して、医療用の弾性ストッキングは、静脈還流を改善させ、症状をやわらげる方法として非常に有効です。予防にも使用しますし、また下肢静脈瘤の硬化療法後や、手術(ストリッピング術、レーザー焼灼術)後にも使用します。
弾圧ストッキングには、ドラッグストアなどで売っている市販のものと、医療用として病院で処方されるものがあります。実は、この二つは、仕様が全く異なります。どう違うか、次の項目で比較してみていきます。
下肢静脈瘤の症状から治療までの詳細はこちら
▶ 症状 足に違和感がある、足がだるい、足の血管がでこぼこしてきた、足の血管が目立つ
市販品と処方されたものの違いは何?
市販品と医療用、表にしてみましたのでご覧ください。解説は表の下に続きます!
医療用 | 市販品 | |
圧迫圧
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20~30mmHg(27~40hPa)以上を推奨 | 15mmHg(20hPa)以下が殆ど |
保存的及び術後の使用に必要な圧迫圧 | 治療には不十分な圧迫圧 | |
かかと
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あり | なし |
かかとが有ることにより、弾性ストッキングの使用に重要な足首の位置が合わせられるので、適切な圧迫圧が得られる。 | かかとが無いので足首の位置がずれる可能性があり、適切な圧迫圧がかかりにくい。 | |
サイズ
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足首を優先的に計測する | 細かな規定なし |
適切な圧迫圧を得るため、商品それぞれのサイズ表に従い、サイズを決める | ― | |
形
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医師または看護師が形(タイプ)を選択する | 自分の感覚で決めている |
医療用の弾性ストッキングの特徴を見ていきますと、よく見ると高度の圧迫圧、安定した圧迫圧を必要とするための特別な編み方(横糸が入っています)がされています。そして、医療用の弾性ストッキングは足首の圧迫圧が一番強く、太ももに向かって圧迫圧が弱くなるように段階的圧迫で作られています。
これは静脈血やリンパ液を心臓方向へ流れやすくするために考慮されているからで、具体的には、圧迫圧勾配はおおよそ足首:ふくらはぎ:太ももが10:7:4となっています。
上記の表にあるように、市販品は圧迫圧が低めに設定されており、またかかとがないため、自分に合ったサイズを選びにくいといった欠点があります。
医療用弾圧ストッキングのススメ
下肢静脈瘤によるうっ血症状(足が重い、だるい、痛い、むくむ)に対して、医療用の弾性ストッキングは、静脈還流を改善させ、症状をやわらげる方法として非常に有効です。下肢静脈瘤の硬化療法後や、手術(ストリッピング術、レーザー焼灼術)後にも使用します。医療用弾性ストッキングには様々なタイプや圧迫圧のものがあるため、患者さんご自身が選んで使用すると、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。そのため、医師・看護師の指導の下に患者さんに合った適切な商品を選択しなければなりません。
静脈瘤をお持ちの方はもちろん、立ち仕事の方、むくみやだるさに悩んでおられる方は、是非、医療用弾性ストッキングの着用をオススメします。
はじめての弾性ストッキング・・・初心者向けQ&A
弾性ストッキングについてよく寄せられる質問について、まとめてみました。
質問1.こんなにきつく締め付けても問題はないのでしょうか?
【質問Q】こんなにきつく締め付けても問題はないのでしょうか?
【回答A】正しい使い方をしていれば問題ありません。サイズが小さく感じる方もいらっしゃると思いますが、サイズを測定して合ったものを購入して頂いていますので問題ありません。足にしびれや痛みがでるようでしたら、履くのを中断して、医師あるいは看護師に相談しましょう。
質問2.きつくて履けないのでワンサイズ上のストッキングに変えてよいですか?
【質問Q】きつくて履けないのでワンサイズ上のストッキングに変えてよいですか?
【回答A】病態に応じて圧迫圧を決めているため、サイズ変更は避けるべきです。
質問3.食い込んで痛いのですが?
【質問Q】食い込んで痛いのですが・・・。
【回答A】ハイソックスタイプで膝の裏が食い込むようでしたら、ストッキングタイプかパンストタイプを使用するのが無難です。弾性ストッキングの途中にシワができて痛む場合がありますので、シワができないように十分引き上げるようにしましょう。 サイズが合っていない場合もありますので、確認してみましょう。
質問4.かぶれるのですがどうしたらいいでしょうか?
【質問Q】かぶれるのですがどうしたらいいでしょうか。
【回答A】ストッキングタイプではシリコンの滑り止めの部分で皮膚炎を起こす場合があります。そのような方にはハイソックスタイプかパンストタイプを使用したりします。商品によってはかぶれ防止用のチューブ帯が付属しているものもあります。軽度から中等度のかぶれはステロイド軟膏を塗ることで改善します。かぶれがあまりにひどい場合は、ストッキングの着用が継続できない場合もありますので、かかりつけの専門医までご相談下さい。
質問5.正直、暑くて履きたくないです。
【質問Q】正直、暑くて履きたくないです。
【回答A】つま先無タイプのものは比較的暑さをしのげます。つま先ありタイプのものを切って使用される方がいますが、圧迫圧が変わる可能性があり、ほつれの原因にもなりますので、ご自身で切るのは避けて下さい。
質問6.水虫があるので、履きたくないです。
【質問Q】水虫があるので、履きたくないです。
【回答A】つま先無タイプを使用しましょう。
質問7.伝線してしまった場合はどうすればいいですか?
【質問Q】伝線してしまった場合はどうすればいいですか?
【回答A】伝線すると、その部分の圧迫圧が変わってきますので、新しいものに交換する必要があります。購入時に二着購入しておくと、交替で洗濯も可能で長持ちします。
質問8.夜間(就寝時)も履いて大丈夫ですか?
【質問Q】夜間(就寝時)も履いて大丈夫ですか?
【回答A】原則的には、夜間は弾性ストッキングを必ず脱いでいただきます。夜間に使用するとかえって血液の循環を悪くしてしまう可能性があります。 医師から特別に指示がない限り、就寝時は脱いで下さい。
質問9.ドラッグストアで買ったものでも良いですか?
【質問Q】ドラッグストアで買ったものでも良いですか?
【回答A】一般的にドラッグストアで販売されている商品は圧迫圧が弱いものが多く、術後に使用出来ないものがありますので、医師あるいは看護師の薦める圧迫圧のものを選びましょう。
質問10.悪いのは上の足なのに、太ももまでのストッキングのほうがいいのではないですか?
【質問Q】悪いのは上の足なのに、太ももまでのストッキングのほうがいいのではないですか?
【回答A】もちろんストッキングタイプでも問題ありません。逆流は足の付け根から起きていますから、太ももから圧迫するのが理にかなっています。ただし、症状(だるさやむくみ)が起きるのはふくらはぎですので、ふくらはぎを締め付ければ症状は改善しますし、静脈瘤の進行を予防できます。以上のように、常の使い易さから、通常はふくらはぎを締め付けるハイソックスタイプのものをお奨めしています。
医師に相談する方はこちらを参考にしてください。
▶ 【日本全国】下肢静脈瘤専門医のいる病院