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【バレーボール/テニス編】名スポーツドクターに聞く!スポーツ別・起こりやすいスポーツ障害

 2016/02/25 コラム スポーツ 病名
この記事は約 6 分で読めます。
バレーボール

スポーツには、そのスポーツを長くやることで起こる、ケガや病気があります。「スポーツ障害」と呼ばれるそのケガについて、スポーツドクターに聞きました。種目別に連載でお届けしています。
今回はバレーボール、テニス編です。

◆スポーツ障害とは?

スポーツ障害とは、長い間スポーツを継続する間に、小さな力が繰り返し加えられることによって生じる障害のことを指します。(ここには突発性、急性のスポーツ外傷は含まれません)。スポーツ障害について、またこの記事のコメントをいただいた名ドクター湯澤医師については、こちらでご紹介しております。

関連記事▶ スポーツを長くやっている人に起こる、スポーツ障害とは?

◆バレーボールで起こりやすいケガ 一般バレーボール選手の外傷・障害

バレーボール

では、バレーボールでおこりやすいケガについてみていきましょう。
下記グラフをご覧ください。バレーボールを行なっている人に見る外傷の割合グラフです。多いものから潤に膝痛20%、腰痛16%、足関節ねんざ11%、肩痛6%となっており、TOP3項目が下半身のケガであることがわかります。
C031-1
引用: 森北育宏ほか:バレーボール、ナショナルチームドクター・トレーナーが書いた
種目別スポーツ障害の診療.南江堂.2006.p99-114.

◆スポーツ特有の障害:ジャンパー膝

ジャンパー膝とは、足を使うスポーツに起こる障害のひとつで、ジャンプ動作を繰り返すことによる膝の故障を指します。詳しくいうと、膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん)、および大腿四頭筋腱付着部の炎症ということになります。

【なぜ起こるの?】
ジャンプなどの着地時の負担は、大腿四頭筋にかかります。少し専門的ですが、筋肉の組成を見るとどう負担がかかっていくかがわかります。

大腿四頭筋は膝蓋骨(膝のお皿)につき膝蓋靭帯となり脛骨粗面(スネの骨の上端)につくので、大腿四頭筋にかかった負担は膝蓋靭帯にもかかることになります。その反復によって膝蓋靭帯に炎症が生じ、時には小さな断裂も起こります。この障害をジャンパー膝または膝蓋靭帯炎と言います。
バレーボール、バスケットボール、陸上競技でジャンプ競技のものなど、繰り返すジャンプ動作を持つスポーツ全般にみられます。

【どんな症状?】
痛みが、膝のお皿のすぐ下に出ます。押すと痛む圧痛もみられます。軽い症状の場合、安静時も運動時にもあまり痛みがでません。しかし進行すると症状が変わります。まず運動時に痛みが出始め、はじめのうちは我慢できる程度なのですが、重症化すると歩くだけで痛み、とてもスポーツは出来る状態ではなくなってきます。

【治療法は?】
重症以外の場合は、痛みが出なくなるまで練習を中止することです。患部を休ませます。

同時に、大腿四頭筋のストレッチ、マッサージ、練習前のウォーミング、練習後のクールダウン、患部のアイシングを丁寧に念入りに行います。これらの処置が無効なほどの重症の場合は、ギプスなどで固定を行う場合があります。しかし手術の事例はほとんどありません。

◆練習前後の大切に

どんなスポーツもケガの予防になる事前のストレッチは重要です。体の一部ではなく、全身くまなく血が巡る感覚がもてるようなウォーミングアップ、ストレッチが効果的です。また全身を上手に使うことで、上達度も高まります。

練習後はクールダウンやマッサージを行い、長期的、計画的に練習を行います。体を壊すぐらいの過度な練習は控えましょう。

◆テニスで起こりやすい障害一覧

テニス

大抵の町や学校にテニス場があるほど人気の種目であるテニスは、楽しく安全なスポーツのイメージがあるかもしれませんが、実際は外傷、障害も多くハードなスポーツです。

イメージと実際のギャップが怪我につながることもあるので、自分の筋力や柔軟性のレベルを考えながらテニスを楽しみましょう。テニスで多い外傷は、足関節の捻挫、アキレス腱断裂、膝の捻挫、肘の捻挫などとなっています。足の故障が上位4位を占めています。

またあまり聞かないかもしれませんが、腰の捻挫、眼の打撲などの事例も多く挙がっています。

テニスで発生しやすい障害  13,737例
1.足関節の捻挫 301
2. アキレス腱の断裂  105
3.下腿部の打撲 94
4.膝の捻挫 87
5. 肘の捻挫 87
6.腰の捻挫 83
7.下腿の肉離れ 53
8.手関節の捻挫 45
9.眼の打撲 43
10.足の捻挫 42

◆テニス特有の障害:テニスエルボー

テニスエルボー(テニス肘)とは、テニス愛好者ではよく経験される障害です。ひじから前腕にかけて痛む症状がみられます。

【なぜ起こるの?】
バックハンドのインパクトのときに、手首から肘の外側につながる伸筋群が酷使されるという長期間の過労が原因となります。肘の外側を痛めてしまいます。でまた筋力不足やスイートスポットをはずす、ラケットの不適合などが原因で短期間で症状が出ることもあります。

【どんな症状?】
痛みは肘の外側の膨らんだところに出ることが多くなっています。ここにある手関節の伸筋群と上腕骨外側上顆の付着部が損傷されるのが原因です。

初期段階ではバックストロークをしたときに痛む程度ですが、症状が進行するとラケットを握っただけでも痛く、タオルを絞るなどテニス以外の動作でも手関節をそらす動きで痛みを感じ、重症になると安静時でも痛みを感じることがあります。

【治療法は?】
使いすぎが原因なので、痛みを感じたら練習を中止します。安静を第一に、手首をそらすような動作も避けます。一般的に手術での対応はありません。

痛みを感じたら専門医の診断を受け、慢性化させないように適切なアドバイスを受けることをお勧めします。前腕ストレッチ、筋力強化、ラケットの重量軽減、ガットテンションを緩めるなどは予防に効果的です。

◆休むことが一番の特効薬

テニスエルボーになるとテニスの中止を余儀なくされます。テニス好きの人にとっては、これがとても苦痛のようで、練習ができないことがストレスになったりするようです。

そうなる前に、練習前後のストレッチやウォーミングアップ、クールダウン、マッサージなどしながら、長くテニスを楽しみたいですね。またひじに負担がかからないように、ラケットの重量軽減、ガットテンションを緩めるなど物理的な工夫もできます。調整してみてください。

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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