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【野球/ソフトボール編】名スポーツドクターに聞く!起こりやすいケガ

 2016/02/27 コラム スポーツ 病名
この記事は約 5 分で読めます。
野球

スポーツには、そのスポーツを長くやることで起こるケガや病気があります。これを「スポーツ障害」と呼びます。

スポーツ障害にはどういうものがあるのか、気を付けるべき点、予防ポイントはどこか? 名スポーツドクターに回答いただくシリーズ、今回は野球、ソフトボール編です。

◆スポーツ障害とは?

スポーツ障害とは、長い間スポーツを継続する間に、小さな力が繰り返し加えられることによって生じる障害のことを指します。ここには突発性、急性のスポーツ外傷は含まれません。
スポーツ障害について、この記事のコメントをいただきました、雑誌などでもご活躍されるスポーツドクター 湯澤医師については、こちらでご紹介しております。

▶ スポーツを長くやっている人に起こる、スポーツ障害とは?

◆野球・ソフトボールで起こりやすい障害一覧

野球

今でも最も人気があるスポーツのひとつである野球は、小学生から社会人まで長く楽しむ方は多くいらっしゃるかもしれませんね。そんな野球、また類似ポイントが多いソフトボールの練習や試合中に発生するケガでは、「手指部の捻挫・骨折」「足関節(足首)の捻挫・骨折」が代表的です(下表参照)。

「手指部の捻挫・骨折」はいわゆる突き指ですが、脱臼や骨折しているケースも非常に多いので、軽く考えず注意する必要があります。「足関節(足首)の捻挫・骨折」はベースランニング、スライディング時などに発生しやすく、スパイクの着用がケガを大きくする原因の一つになっているようです。

軟式野球で発生しやすい障害 <16,499例>

1.手指部の骨折 ・・・2,289 件
2.足関節の捻挫・・・ 1,351件
3.手指部の捻挫 ・・・1,104件
4.前腕の骨折・・・ 691 件
5.眼の打撲・・・ 599 件
6.手指部の打撲・・・ 571件
7.下腿の骨折・・・ 531件
8.膝の打撲・・・ 473件
9.膝の捻挫 ・・・461件
10.肘の捻挫 ・・・424件

よく起こりやすい外傷

【手・指】

最も発生頻度の高い「突き指」、ひどいケースでは指の骨が砕けてしまうこともある。

【下腿】

スライディングの勢いとスパイクのストップ効果で大きな力が加わり、すねの骨が折れてしまう。

【足首】

足首の捻挫はベースランニング中やフィールディング中によく発生する。

【眼】

キャッチミスによってボールが眼に当たり発生する。

【前腕】

スライディングキャッチなど前腕の骨折も手指や足首についで多いケガ。

野球特有の障害:野球肩

【野球肩って?なぜ起こるの?】
投球動作により繰り返しの負担がかかり、肩の腱板(筋肉と骨の接合部)、骨、腱などが炎症、損傷したりする障害が野球肩です。損傷して剥がれた各部分が運動時に衝突(=インピンジ)して発生することからインピンジメント症候群とも言われています。

また、成長期特有の障害で、軟骨の一部に傷がつき、少しずつ大きくなっていくものをリトルリーグ肩と言います。

【どんな症状?】
症状が軽い場合は、投球動作以外での痛みはそれほどありません。投球時、腕を前方に振り出していく過程で痛みが強く、投球時以外でも痛み出る場合もあります。症状が重い場合は、安静時(特に夜間)でも痛みが出ることもあります。

【野球肩の簡単な判断方法】
親指が下を向くように腕をひねり、この状態で腕を上から押さえてもらい、それに抵抗しようと腕を上げます。この時に痛みが出たり痛くて上げられなかったりすれば、野球肩の可能性が高くなります。

【治療法は?】
専門医の診察が必要です。2ヶ月位の安静で回復することも多いが、症状によっては手術を必要とすることもあります。野球肩も、野球肘(下記)と同様に、使いすぎが最大の原因といえるので、投げすぎないことで予防策をとりましょう。フォームの変更なども効果を発揮する場合があります。

野球特有の障害:野球肘

【野球肘って?なぜ起こるの?】
投球の動作をすると、筋肉の張力で、肘関節部分の骨と筋肉の付着部に強い力が加わったり、強い回旋力が加わります。この繰り返しにより、肘関節部に炎症や骨の異常が起こることを野球肘と呼びます。

【どんな症状?】
痛みの出る場所は、大きく分けて「肘関節の外側」「内側」「後ろ側」の3つに分かれます。圧痛(押すと痛い)があるものや、運動制限があるものなど、痛む場所によって障害の原因が違ってきます。

外側:深刻なケースの場合、骨や軟骨がこすれ合って部分的に折れたり剥がれたりします。いわゆる「関節ねずみ」と言うのは、この症状が進み、関節の中で剥がれた軟骨の一部が動き回る状態のことを言います。

内側:野球肘で最も多く見られるもので、投球動作による負荷の反復で筋肉と付着部の骨に障害が起きます。重症になると骨が剥がれることもありますが、外側よりも軽くすむ例が大半です。

後ろ側:投球動作の投げ終わりで腕がまっすぐになった時に、肘の後ろ側で骨と骨がぶつかり合って障害が出ます。

【治療法は?】
骨に異常が生じたまま放置しておくと、野球はもちろんのこと、日常生活にも支障をきたしかねません。痛みが長く続いたり、肘関節の伸展・屈曲制限のあるときは、専門医の診察を受けたいところです。

内側の痛みで骨に異常が無ければ、3ヶ月位の投球中止で治ることもあります。野球肘を引き起こす最大の原因は肘の使いすぎです。したがって予防策は投球の中止しかないのです。とりわけ、成長期にある少年野球の投手には必要以上に注意しなければなりません。

◆まとめ・・・人気の野球、スポーツ障害は子供のうちからみられます

これまで、野球による障害は、プロ野球、大学野球、高校野球の選手に焦点があてられていましたが、最近では、少年野球の時期からすでに肩関節、ひじ関節の痛みを訴える子どもがいることがわかってきました。

投球技術をマスターする以前に練習や試合で全力投球してしまうことが、障害を起こす原因になります。

成長期でのケガはその後の身体形成やスポーツを楽しむ環境にも影響しますので、痛みが見られたら一度病院での受診をおすすめします。

 

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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