【バスケットボール編】名スポーツドクターに聞く!起こりやすいケガ

スポーツには、そのスポーツを長くやることで起こるケガや病気があります。これは「スポーツ障害」と呼ばれるものです。
スポーツ障害にはどういうものがあるのか、気を付けるべき点、予防ポイントはどこか? について、名スポーツドクターに回答いただくシリーズを連載しています。今回はバスケットボール編です。
Contents
◆スポーツ障害とは?
スポーツ障害とは、長い間スポーツを継続する間に、小さな力が繰り返し加えられることによって生じる障害のことを指します。ここには突発性、急性のスポーツ外傷は含まれません。スポーツ障害について、当記事のコメントをいただいた、雑誌などでもご活躍されるスポーツドクター、湯澤医師については、こちらでご紹介しております。
◆バスケットボールで起こりやすい障害一覧
バスケットボールはジャンプ、ストップ、ピボットなど足部、足間接、膝関節に負担がかかる動作があるため、前十字靭帯損傷や半月板損傷といった大きなケガも珍しくないスポーツです。
また、相手選手との接触でのケガやボールのキャッチングでのケガ(手指部の捻挫・骨折)もしやすくなっています。
代表的な障害はスネに発生する疲労骨折やシンスプリント、ジャンパー膝、成長期にかかるオスグッド病などがあります。
バスケットボールで発生しやすい障害
1.足関節捻挫 ・・・498 件
2.手指部の骨折 ・・・403 件
3.手指部の捻挫 ・・・ 376 件
4.前腕の骨折・・・ 199 件
5.膝の捻挫 ・・・122 件
6.膝の打撲・・・ 80 件
7.下腿の骨折 ・・・ 77 件
8.足部の捻挫 ・・・63 件
9.手関節の捻挫・・・ 59 件
10.手関節の骨折・・・ 56 件
女子バスケットボール日本リーグにおける外傷・障害
続いて女性バスケットボール日本リーグ時のケガの発生比率を見ていきます。最も多い部位は足関節、足部(45%)、次いで膝関節(29%)となっており、試合中は足の関節部に負担が大きくかかっていることがわかります。
引用: 清水 結、女子バスケットボール日本リーグ(WJBL)におけるスポーツ損傷の疫学調査と外傷予防効果の検討(日本臨床スポーツ医学会雑誌.2009)
バスケットボール特有の障害:シンスプリント
シンスプリントとは、足のスネ部に起こる痛みです。スネの疲労骨折と症状が似ていますが、骨折ではなく骨膜(骨の表面)に炎症が起こる障害です。
【なぜ起こるの?】
筋肉が伸びたり縮んだりを繰り返すことにより、スネの骨の骨膜に炎症が発生します。医学的には脛骨過労性骨膜炎と言います。陸上の選手も多い障害です。
【どんな症状?】
痛みはスネの中心から少し下の内側に出て、圧痛があり、少し腫れてくる時もある。スネの疲労骨折との区別が難しいため専門医の診察を受けてください。
【治療法は?】
4週間くらいの安静(足に負担のかからない運動は大丈夫)で痛みがとれ治る場合がほとんどです。
そのほか、痛い部分のアイシング、マッサージ、ひらめ筋のストレッチなども効果的です。痛みが取れたら徐々に軽い練習からはじめ、再発しないように練習メニューを再検討していきましょう。ふくらはぎ、足関節周囲に筋力アップも再発防止に効果的です。
バスケットボール特有の障害:スネの疲労骨折
シンスプリントとともに起こりやすく判断が難しいのが、スネの疲労骨折です。
【なぜ起こるの?】
ジャンプやランニングの繰り返しによって、スネの骨(脛骨)に負担がかかりひび状の骨折が起きます。ランニングが原因の疾走型と、ジャンプが原因の跳躍型があり、跳躍型のほうが治りにくい傾向があります。
【どんな症状?】
疾走型はスネの上部か下部、跳躍型は中央部に圧痛や腫れがあり、運送中や直後に痛みが強く出ます。
【治療法は?】
疾走型なら3ヶ月位の長期休養や練習中止でほとんど治ります。しかし跳躍型は非常に治りにくく1年以上かかってしまうことも少なくありません。
症状によっては手術のケースもあります。症状が出てきた段階で専門医の診察を受け治療に専念しましょう。過労が原因の骨折なので、オーバートレーニングをやめること、下肢の筋肉強化(骨への負担軽減)、ストレッチなどが予防につながります。
バスケットボールに多い突き指
バレーボールやバスケットボールなど大きなボールを扱うスポーツでの突き指は、指関節の側方にある側副靭帯が損傷を受ける場合があります。この場合、レントゲン写真を撮り、はく離骨折の有無や横方向状態の確認をする必要があります。
突き指に関しては関節の脱臼、脱臼骨折なども含まれるため、自分で判断せず、正しい診断と治療が必要です。
◆まとめ・・・疲労に注意
スポーツ障害とは?の記事にもまとめているのですが、練習のし過ぎ、いわゆるオーバートレーニングによるスポーツ障害は多くみられます。休息は重要です。トレーニングメニューを計画的に配分し、体と相談しながら、進めていきます。選手が小さいうちは、コーチや監督の方の見守りも重要です。
参考文献:「子どものスポーツ医学入門」NPOライフサポート協会著 ラピュータ刊
参考文献:「スポーツ別 強くなる筋力トレーニング」 西東社刊