【陸上競技、マラソン、ジョギング、ランニング編】 名スポーツドクターに聞く!起こりやすいケガ

スポーツには、そのスポーツを長くやることで起こるケガや病気があります。これを「スポーツ障害」と呼びます。
スポーツ障害にはどういうものがあるのか、気を付けるべき点、予防ポイントはどこか?名スポーツドクターに回答いただくシリーズ、連載でお届けしています。今回は陸上競技、マラソン、ジョギング、ランニング編です。
Contents
◆スポーツ障害とは?
スポーツ障害とは、長い間スポーツを続ける間に、小さな力が繰り返し加えられることによって生じる障害のことを指します。ここには突発性、急性のスポーツ外傷は含まれません。
スポーツ障害について、当記事のコメントをいただいた雑誌などでもご活躍されるスポーツドクター湯澤医師については、こちらでご紹介しております。
▶ スポーツを長くやっている人に起こる、スポーツ障害とは?
◆陸上競技で起こりやすい外傷、障害とは
陸上競技では種目によって故障する場所も違い、突発的なケガよりも、少しずつ悪化してくる障害が多い多いのが特徴です。
まず、中・長距離の選手に多いのは、中足骨の疲労骨折です。またシンスプリント、アキレス腱炎、ランナー膝も多くなります。
短距離では大腿屈筋群の肉離れが多くみられます。ジャンプ種目ではジャンパー膝、前十字靭帯損傷などの膝と腰痛が目立ちます。
投てきでは、ヤリ投げ選手に、ヤリ投げ肩、ヤリ投げ肘という関節の障害、砲丸投げの選手にも肩の障害がありますが、膝痛や腰痛も目立ちます。
ジョギング特有の障害:疲労骨折
長距離を継続して走るジョギングでは、脚部それぞれの箇所に疲労骨折がみられるのが特徴です。疲労骨折とは継続して長期間負荷がかかることで起こる骨折です。
【なぜ起こるの?】
着地の衝撃と、地面を蹴るときの衝撃が蓄積され、骨にひびが入ります。重症になると完全に折れてしまいます。中足骨、脛骨、踵骨、腓骨などにみられます。
【どんな症状?】
中足骨:走ると足の甲が痛く、時に少し腫れてくる事があります。
脛骨:スネの上か下に圧痛や走ったときに痛みがあり、時に少し腫れてくる事があります。
踵骨:走ったり歩いたりすると痛みます。外見上の変化はほとんどありません。
【治療法は?】
痛みがなくなるまでジョギングやランニングの中止(足に衝撃のない運動は可)が一番いい治療法です。1ヵ月~3ヵ月位で治ります。痛みの緩和、患部の保護するために、中足骨では足底版、踵骨ではヒールウェッジ、を使用することもあります。
対策として、ジョギングコース、シューズの選択も重要なポイントになります。特にO脚、X脚、偏平足の人は影響が大きくみられます。
疲労骨折と間違われやすい症状:シンスプリント
シンスプリントとは、足のスネ部に起こる痛みです。スネの疲労骨折と症状が似ていますが、骨折ではなく骨膜(骨の表面)に炎症が起こる障害です。
【なぜ起こるの?】
筋肉が伸びたり縮んだりを繰り返すことにより、スネの骨の骨膜に炎症が発生します。医学的には脛骨過労性骨膜炎と言います。陸上の選手も多い障害です。
【どんな症状?】
痛みはスネの中心から少し下の内側に出て、圧痛があり、少し腫れてくる時もある。スネの疲労骨折との区別が難しいため専門医の診察を受けてください。
【治療法は?】
4週間くらいの安静(足に負担のかからない運動は大丈夫)で痛みがとれ治る場合がほとんどです。
そのほか、痛い部分のアイシング、マッサージ、ひらめ筋のストレッチなども効果的です。痛みが取れたら徐々に軽い練習からはじめ、再発しないように練習メニューを再検討していきましょう。
ふくらはぎ、足関節周囲に筋力アップも再発防止に効果的です。
長距離練習で出るスネと足の親指の痛み、そして偏平足の関係
長距離練習をやりこむと、スネや足の親指に痛みが出ることがあります。
足のスネの痛みは上記のとおり、スネの疲労骨折やシンスプリントなどを考慮し、病院でレントゲンを含めた診察をおすすめします。
同時に、炎症の治療で時間がある間に、痛みが起こった原因となる、フォームの検証と改善もおすすめです。靴は合っているのか、バランスの良いフォームか、下肢の左右差、筋力のバランス感などチェックしてみてください。
最近では偏平足も増えています。足の底にあるアーチ状の土踏まずがないために、足の親指が外を向き外反母趾となり、足の痛みを訴えるに至ります。偏平足の場合は、靴に中敷を挿入したり、足の指の運動をすることで改善していく可能性があります。
◆まとめ・・・専門医に相談しよう
当然ですが、同じ陸上競技でも、スポーツ障害が起こりやすい部位は全く異なりますね。骨折と骨膜に起こる炎症との違いなどは、自身ではなかなか判断できないものではないでしょうか。痛みに気が付いたら早めにスポーツドクターなど専門医を訪ねるとともに、オーバートレーニングにならないような配慮も試してみてください。
参考文献:「子どものスポーツ医学入門」NPOライフサポート協会著 ラピュータ刊
参考文献:「スポーツ別 強くなる筋力トレーニング」 西東社刊