お医者さんと一緒に考える花粉症・症状と治療と予防

今や日本の3人に1人といわれる花粉症。花粉症について、たくさんの情報が出回っていますが、お医者さんは花粉症をどうとらえているのでしょうか?
病院で提供されている花粉症の治療、薬や、花粉症の基礎知識を一緒にみていきましょう。
(協力:日本医学検定協会)
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花粉症って、どういうことですか?
ナオル先生。花粉症の季節、いよいよ始まってきました~。人間の友達に、「ちょっと鼻がムズムズするけどまだ花粉症じゃない」とか「どうなったら花粉症なの?」ってよく聞かれるようになったんです。そもそも花粉症って、どういうことですか?教えてくださーい!
はいはい。花粉症とは、花粉が原因で起きるアレルギー性鼻炎のことなんです。季節性アレルギー性鼻炎ともいわれています。 アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜に起こるアレルギー性疾患(I型アレルギー)のことなのです。 の3つをおもな症状とする疾患です。
花粉症の原因って?アレルギーって何でしょうか?
花粉症とは、季節性アレルギー性鼻炎のこと・・・。 うーん。もう少し教えてください。 アレルギーって、なんですか?
そうですね、人間のからだには、細菌やウイルスなどの病原体が入ってきたとき、病原体を除いて体を守る「免疫」という働きがあるのです。 免疫は、人間が健康に生活するために非常に大切なものです。しかし、この免疫が、花粉や食べ物などに過剰に反応してしまうことがあります。 これをアレルギー反応といい、アレルギー反応を引き起こす物を抗原といいます。 花粉症は、花粉に対するアレルギー反応、なのです。 花粉によるアレルギー反応は個人差があり、すべての人に起こるわけではありません。このため、同じ環境にいても、花粉に対してアレルギー反応を示す人と、まったく反応を示さない人とがいるのです。
「アレルギーは免疫の過剰反応」ってことは、免疫が、がんばりすぎているんですね。そして「アレルギーがでない人もいる」と。 なるほど、メモしておきまーす。
花粉症の症状は? 具体的なアレルギー反応とは?
花粉症は、季節性アレルギー性鼻炎、ってありましたけれど、 具体的に鼻がどうなっちゃうんですか?定義ってあるんでしょうか?
花粉症では、鼻の粘膜が過敏になります。また、アレルギー反応により放出された物質(ヒスタミン)で、知覚刺激効果が増幅します。 このため、次のような症状が引き起こされます。 ①くしゃみ 発作性・反復性のくしゃみ(くしゃみ反射)が出ます。 ②水様性鼻汁 水様性の分泌物が鼻粘膜血管からもれ出たり、鼻腺(びせん)から分泌物が出たりすることで、水様性鼻汁が出ます。 ③鼻粘膜腫脹 鼻粘膜血管に走る血液の流れが悪くなり(鬱血うっけつ)、鼻粘膜が腫れ、鼻閉びへい(鼻詰まり)が起きます。
言葉が難しいですー。ナオル先生。簡単に言うと、いっぱいくしゃみがでて、水っぽい鼻水がたれてきて、鼻が詰まるんですねー。 私に鼻はないですけど、これって苦しそうです・・・。
花粉症の人はどれぐらいいるの? 日本人の何割?
そんな症状を持った人、ナオル先生が大好きな日本に、今、どれぐらいいるものなんですか?
はい。2013年現在では、日本人の約3割が花粉症にかかっている、というデータがあります。
日本で、アレルギー性鼻炎を発症されている方の人数は、増加傾向にあるのです。その中でも、花粉症(特にスギ花粉症)の増加が著しくなっています。1998年から2008年までの10年間で、花粉症の症状がある人の割合(有病率)は10%増加しています。
3割というと、3人に1人!多いですね~。さらに増えている・・・。 それは大変な事態です!
病院で行う花粉症の治療、薬と予防
そうですね。予防という面から見て、花粉症の治療の一番の原則は、抗原である花粉の除去と回避です。
マスクなどで花粉を吸入しないよう対策を行うこと、室内の掃除で侵入した花粉を除去することなどが大切になります。
また、花粉飛散情報が参考になります。環境省などがインターネット上で配信している、花粉情報サイト「環境省花粉計測システムはなこさんhttp://kafun.taiki.go.jp/」などがあります。
飛散量の予測や観測、関連する調査研究情報が配信されていますよ。
とにかく花粉を取り込まないこと!それが予防なんですね。
花粉情報サイトも一緒に、お友達に教えまーす。
かかってしまった花粉症は、どうやって治療するんですか?
花粉症はアレルギー反応であるため、アレルギー反応を抑制する薬剤を投与する薬剤療法もあります。アレルギー治療薬は、花粉飛散開始とともに服用を始める初期治療が一般的です。
初期治療は、花粉飛散量が多い季節になって症状が出現してから服用し始めるより、効果が高いことがわかっています。
なお、アレルギー治療薬の副作用として、眠気が出ることなどがあります。
そのほか、からだを花粉に慣らすために、花粉の抽出液の濃度を少しずつ上げて注射や舌下に投与する減感作療法(抗原特異的免疫療法)があります。花粉を防御する免疫を獲得するという減感作療法は、最も効果的な治療法です。しかし、体質改善を目指す治療法のため、効果が現れるまでに数か月かかり、効果を維持するためには3年以上治療を続けることが必要です。また、まれではありますが、全身にショック状態(アナフィラキシーショック:皮膚、呼吸器、消化器などに症状が現れ、ときには血圧低下や意識喪失などを引き起こし、死に至る危険性がある)を引き起こすことがあります。
なお舌下減感作療法用の薬「シダトレン」は、2014年から保険適用薬になっています。
いろんな治療法があるんですね。
お薬は、花粉が飛び始める時期から飲み始めると効果的。はい、メモしました。早めの対応がいいんですねー。
まとめ・・・お医者さんに聞いた花粉症とは? イエルのメモまとめ
- 花粉症とは、季節性アレルギー性鼻炎のこと。
- アレルギーとは、免疫の過剰反応。
- 花粉症の症状を簡単に言うと、いっぱいくしゃみがでて、水っぽい鼻水がたれてきて、鼻が詰まる。
- 日本人の3人に1人は花粉症。しかも増えている。
- 花粉症予防は、花粉を体内に取り込まないこと。花粉情報サイトも活用しよう。
- 花粉症の治療は、お薬を飲むものが一般的。花粉が飛び始める時期から飲むと効果的。体に花粉を慣らす減感作療法(抗原特異的免疫療法)もあるけど、3年以上続けることが必要。舌下薬も保険適用になった。