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子供の急な下痢、気になる原因、食事から便の見方まで、病気と対応のまとめ

 2016/04/12 コラム 子供 病名 症状
この記事は約 5 分で読めます。
子供下痢

子供の下痢には、初めてのものを口にしたことによる下痢から、感染症によるものまで様々なレベルのものがあります。ここでは子供の便の見方から、下痢で考えられる代表的な病気、保育園での対応ガイドラインなどの情報をまとめました。

この下痢は病気かな? まずは様子を確認する

下痢時には、まず、病的なものであるか確認します。
特に乳児の下痢は、病気でなくても比較的よく起きるものです。ミルクの飲みすぎや、朝起きてすぐの授乳によっても起きることがあります。お子さんの日頃の身体の状態癖をよく観察して、気になる場合は、かかりつけのお医者さんに相談してみましょう。

便の様子の見方

では、便の性状・色の見方について、解説していきます。

1、便の性状

健康な子どもの便は、バナナ状、半練り状です。ドロ状、水状(水様性)の場合は、下痢が考えられます。

2、便の色

通常の便の色は、緑、黄、茶です。便の色が白のときは、乳児嘔吐下痢症、胆道閉鎖症などの可能性があります。急性乳児下痢症は、生後6か月以上の乳児に見られることが多いです。

乳幼児の場合、下痢時に水分が十分にとれていないと、半日から1日で脱水が強度となり意識不明となることもあります。医師の管理のもとに経過観察が必要になりますので、自然治癒を待たずに医療機関を受診しましょう。

また、胆道閉鎖症は、下痢は起こりませんが、白色の便になります。生後0~3か月までの新生児や乳児に見られ、自然には回復しません。早期発見・早期手術が重要ですので、胆道閉鎖症が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

便の色が赤のときは、腸が出血する病気で腸重積症などの緊急処置を必要とする病気の可能性もありますので、医療機関の受診をしてください。

下痢の前に何を食べた? 食事を思い出して

乳児が食べたことのないものを初めて摂取した後は、下痢をすることがあります。下痢のために眠れなくなることもあるので、初めてのものは午前中に食べさせるようにしましょう。病的な下痢であるかを判断するためには、便の色と形状をよく観察します。

食事

保育園ではどうしている? 下痢の判断基準、保育園の対応ガイドライン

下痢がある時、厚生労働省による保育所での対応の方針をまとめたガイドライン(政府や団体が示す、大まかな指針や指導目標のこと)を見ていきましょう。参考にしてみてください。

保育所における感染症対策ガイドライン(2012年改訂版)より

1、登園を控えるのが望ましい場合

・24時間以内に2回以上の水様便がある
・食事や水分をとると下痢がある(1日に4回以上の下痢)
・下痢に伴い、体温がいつもより高めである
・朝、排尿がない
・機嫌が悪く、元気がない
・顔色が悪くぐったりしている

2、保育が可能な場合

・感染のおそれがないと診断されたとき
・24時間以内に2回以上の水様便がない
・食事、水分をとっても下痢がない
・発熱が伴わない
・排尿がある

3、保育者への連絡が望ましい場合

・食事や水分をとると刺激で下痢をする
・腹痛を伴う下痢がある
・水様便が2回以上見られる

4、至急受診が必要と考えられる場合

・元気がなく、ぐったりしているとき
・下痢の他に機嫌が悪く食欲がなく発熱や嘔吐、腹痛を伴うとき
・脱水症状と思われるとき
▶下痢と一緒に嘔吐
▶水分がとれない
▶唇や舌が乾いている
▶ 尿が半日以上出ない(量が少なく、色が濃い)
・米のとぎ汁のような水様便が数回
・血液や粘液、黒っぽい便のとき

下痢がある場合の代表的な病気

下痢を伴う病気にはどんなものがあるのでしょうか? 代表的な病名をあげていきます。

(1)ロタウイルス感染症

6か月~2歳の乳幼児に多く見られます。突然、嘔吐と発熱が起き、咳、鼻水などの症状とともに、白色また黄白色の水様性下痢便を繰り返します。

(2)ブドウ球菌性食中毒

原因となるものを食べてから1~6時間後に症状が出ます。激しい嘔吐や急激な腹痛とともに、下痢を起こします。調理をした人の手に付いていたブドウ球菌からの感染が原因となることもあります。ブドウ球菌性食中毒では、通常、発熱は見られません。

(3)大腸菌感染症

下痢を引き起こす大腸菌を下痢性大腸菌といいます。この菌に感染すると、発熱、嘔吐、腹痛とともに、下痢が起きます。下痢性大腸菌のなかでも、O-157などの腸管出血性大腸菌と呼ばれる大腸菌は、ベロ毒素と呼ばれる毒素をつくり、それにより激しい出血性の下痢を起こします。また、数%の割合で溶血性尿毒症症候群(ベロ毒素により腎臓の細胞が傷害されることで、腎障害が起こるもの。主な症状は、浮腫、乏尿など)を合併することがあります。

(4)サルモネラ感染症

夏季に多く流行します。原因となるもの(古くなった鶏卵・マヨネーズ、加熱不十分な食肉類など)を食べたり、ペット(ミドリガメなど)と接触後に食事をしたりしてから1~3日後に症状が出ます。悪心、嘔吐、腹痛、発熱とともに、下痢を起こします。

(5)カンピロバクター感染症

家畜を介して汚染されたもの(鶏肉など)を食べてから、2~7日後に症状が出ます。腹痛、発熱とともに、下痢を起こします。最初は水様性の下痢で、粘液と血液が混ざった粘血便の下痢も見られ
ます。

まとめ 脱水に十分気を付ける

子どもの下痢は、腹痛や嘔吐も一緒にあることもあり、その場合、特に脱水がひどくなります。上記にも挙げましたが、乳児の場合は、わずか1日で強度の脱水になることがあります。脱水で起こってくる症状は、だるさ、頭痛、吐き気などで、進行すると、意識障害が起こります。脱水時は、ぐったりとするため、子供はいつもに増して、うまく症状を訴えられませんので、下痢をした場合には注意深く子どもを観察し、気になった場合は、病院を受診してください。

参照:子どもの保健検定2級・3級公式テキスト(日本医学検定協会 )

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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