【イクメン入門講座】その3・鼻血・アナフィラキシー等子供の救急まとめ

イクメン入門第3回、救急対応シリーズ最終回の今回は、子供がいる日常に起こりやすい鼻血、転倒、アナフィラキシーショック、熱中症、やけどの際の対応についてまとめたいと思います。
日常の事ですがこの中には命にかかわるショック症状もあります。知るだけで安心、緊急時に活用できる保存版として、ご活用ください!
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救急対応1:鼻血・・・鼻血はこう止める
鼻血は、子どもの救急疾患で多く見られるものの1つです。直接、命にかかわる危険はありませんが、出血しているところが特定しにくく、止血が難しいことが多いためです。出血の頻度が多いのは、鼻入口部に近い鼻中隔前部※です。鼻中隔前部には血管が網の目のように走っているため、出血しやすくなっています。
鼻血が出たときの第1の止血法は、圧迫止血です。なお、圧迫時に上を向かせると、喉に血液が垂れ込むため、やや下を向かせて鼻中隔前部を圧迫します。
※鼻中隔前部:キーゼルバッハ部位ともいい、5つの動脈で構成され、血管網が豊富な場所です。
救急対応2:転んだ時の対応・・・緊急対応が必要な場合は?
ご存知の通り、転倒による外傷は、子どもの場合、日常生活でよく起きるものです。
外傷を受けたときは、まず、泣き方と機嫌を確認します。泣いていても、抱くと泣きやむ場合や機嫌のよい場合は、問題はありません。擦り傷は薬で消毒し、瘤こぶは軽く冷やします。
しかし、泣かずにぐったりしている場合やずっと機嫌が悪い場合、また、吐いている場合は、すぐに医療機関の受診が必要です。転倒による外傷を受けた後は、からだや反応をよく確認することも重要です。頭に傷はないか、手足は動くか、意識はしっかりしているかなどを確認します。これらのことは、外傷を受けた日だけではなく、翌日まで注意します。
救急対応3:アナフィラキシーショック・・・命にかかわる急激なアレルギー症状
アナフィラキシーとは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性のアレルギー症状が出る反応をいいます。じんましん、血管浮腫(けっかんふしゅ)、悪心(おしん)、腹痛、動悸、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などの症状が、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器などのうち2臓器以上に見られます。
アナフィラキシーを引き起こす主な原因(アレルゲン)は、食べ物、薬、昆虫(ハチなど)です)。食べ物では、次のようなものが原因になります。
たまご、牛乳・乳製品、講義、そば、ピーナッツ、えび、いくら、もも、大豆、キウイ、バナナ、ヤマイモ
アナフィラキシーは、血圧低下や意識消失などを引き起こし、命にかかわることもあります。この命にかかわる状態を、アナフィラキシーショックといいます。
アナフィラキシーショックを起こしたときは、気道確保、酸素投与、人工呼吸、血管確保、輸液、薬剤投与などの迅速な処置が必要になります。緊急の処置では、エピネフリン注射(食物アレルギーなどによるアナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための緊急補助治療に使用される医薬品)が最も有効です。
救急対応4:熱中症・・・脱水に注意!
熱中症は、高温の環境により、体内の水分や塩分などのバランスが崩れたり、体内の調整機能が壊れたりするなどして発症する障害の総称です。重症になると命にかかわることもあるため、救急の処置が必要になります。
子どもは、体内の水分の割合が大人よりも多く、脱水症状にもなりやすくなっています。したがって、熱中症にもかかりやすくなっています。
熱中症は、症状と重症度により、3つに分類されます。
分類 |
症状 |
Ⅰ度 | ・めまい・失神(熱失神と呼ぶこともある)
・筋肉痛・筋肉の硬直(熱けいれんと呼ぶこともある) ・大量の発汗 |
Ⅱ度 | ・ 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
(熱疲労または熱疲弊と呼ぶこともある) |
Ⅲ度 | ・意識障害・けいれん・手足の運動障害
・高体温(熱射病と呼ぶこともある) |
熱中症の予防として、気温がかなり高い日は、なるべく屋外での活動を控えさせることです。屋外に出るときは、日傘や帽子などで直射日光を避け、涼しい服装をさせます。また、日陰で涼んだり、たびたび水分と休息をとらせることも大切です。子どものからだに異変を感じたときは、すぐにからだを冷やすことも重要です。
救急対応5:熱傷(やけど)・・・とにかく水で冷やす
熱傷は、子どもの場合、病状が非常に重くなり救急の処置が必要になる疾患です。
熱傷を受けたときは、やけどの場所がわかるときは水道水で5分以上冷やします。勝手な判断で、薬などを塗布してはなりません。
やけどの場所がわからないときは、皮膚に直接触れていない衣類のみ脱がせ、下着は着せたままにします。脱がせたときに皮膚を損傷する可能性があるため、無理に脱がせるようなことは避け、下着を着けた状態で、シャワーなどの流水で冷やします。
全身の1%(子どもの手のひらの大きさ程度)以上に熱傷を受けたときは、医療機関の受診が必要です。子どもの場合は、全身の10%以上に熱傷を受けると、命にかかわる危険な状態になります。
まとめ・・・子供の様子がおかしいときにはすぐに対応を
転んだり、やけどしたり、鼻血が出るというのは子供なら日常頻繁に起こすことですので心配はありませんが、その中でも上記に書いたような重度にあたる場合は、すみやかに医療機関を受診してください。
最近ニュース等でも耳にすることが多くなったアナフィラキシーショックや熱中症は、命にかかわる危険が大きいですので、やはりすぐに医療機関を受診してくださいね。
どんな場合でも、子供の命が先行されます。医療機関を上手に利用して、早めの安心を手に入れてくださいね。
参考文献: 子どもの保健検定2級・3級公式テキスト(日本医学検定協会 )