お医者さんと一緒に考える食物アレルギー・原因と症状、予防と治療【4つの基礎知識】

食物アレルギーは、特に子供に多く見られる疾患です。
対応を誤ると命にかかわることもあるので、小さい子供を持つ親御さんや、学校関連者は特に心配な部分でもありますよね。ここでは、食物アレルギーに関しておさえておきたい基本情報、原因、症状、予防、治療について、お医者さんに伺ってまとめました。
(協力:日本医学検定協会)
Contents
食物アレルギーの原因
お友達の赤ちゃんが、食物アレルギーだっていうんです。 まだ小さいのに・・・。食物アレルギーって、どういう状態なんですか?
食物アレルギーは、特定の食物に対して起こるアレルギー反応のことです。アレルギー原因物質(アレルゲン)を含む食物を摂取した後に、皮膚・粘膜・消化器・呼吸器に悪影響が出たり、アナフィラキシー反応が引き起されたりします。 アレルギー反応を起こす食物は、人によりさまざまです。 また、子どものころにアレルギー反応が出現した食物も、成人するとともに耐性を獲得し、アレルギーを起こさなくなることもあります。
皮膚だけじゃなくて、色々な所に症状が出るんですね。大変。 大人になって耐性ができるといいけど、それまで長いな・・・。
食物アレルギーの症状
もう少し詳しく、症状について述べます。アレルゲンを含む食物の摂取から15〜30分のうちに、皮膚症状、血管浮腫(けっかんふしゅ)、気管支喘息、アナフィラキシーショックなどの症状が起きます。 最も多いのは皮膚症状であり、じんましんが出る、かゆくなる、皮膚が赤くなる、顔が腫れるなどの症状が見られます。 そのほか、呼吸器症状(咳、呼吸困難など)、粘膜症状(口の腫れ、目の充血、目の腫れなど)、消化器症状(腹痛、嘔吐、むかつき、下痢)などの症状も出現します。 アナフィラキシーショックが起きると、死に至る危険もあります。
そんなの、大変すぎます!免疫、そんなに頑張らなくてもいいのに・・・。
年齢と共に変化する食物アレルギー、何歳でどれぐらい発症するの?
食物アレルギーって、小さいお子さんの、どれ位の割合で発生するものなんでしょう?
食物アレルギーの発生率は、アレルゲンを含む食物の種類によっても、年齢によっても異なります。 乳児期の発生率は5〜10%程度です。ただ、乳児期は最も耐性化を獲得しやすいため、学童期になると1〜2%程度に減少します。 アレルギー反応を起こす食物も、年齢とともに変化します。 乳児期・幼児期(0歳から6歳まで)では、鶏卵、牛乳、小麦が多く、学童期・成人期(7歳以上)では、そば、えびが多くなります。
成長すると、発生率が1/5も減少する!それはよかった。救いがありますね。
医学からみる食物アレルギーの予防って?
食物アレルギーの予防って、できるんですか?
予防、とは、食物アレルギー反応を起さないこと、という捉え方で見ます。ですので、予防には、食事の際、アレルギー反応を起こす食物を除いた除去食を摂取する食事療法があります。 また、薬物治療により、アレルギー反応を予防します。 なお、薬物治療には、症状が出現したときに対症療法として行うものもあります。
なるほど。アレルギー反応を起さないようにするという意味で、食事療法と、お薬による治療になるんですね。
食物アレルギーの治療
もっと詳しく知りたいです!ナオル先生、食事療法と、お薬の療法について、教えてください。
まずは食事療法(除去食治療)についてです。 これは、除去食を摂取する療法です。除去食治療では、除去した食物の代わりに摂取できる食物を探し、必要栄養量を過不足なく補充することが重要です。 食物に含まれる原因物質を正しく診断し、食物の調理方法による違いなども細かく認識する必要があります。また、年齢とともに耐性化することもあるため、経過を見ながら除去食をやめていきます。
食事療法とは、原因の食べ物を抜いて、代わりに栄養をちゃんと確保すること。メモメモっと。 続いて、お薬の療法はどうですか?
はい、薬による治療は、抗原特異的経口免疫療法と呼びます。 食物アレルギーの原因物質を含む食物への耐性化(寛解)による療法です。先にあげた除去食治療が消極的治療法であるのに対し、原因物質を与える積極的治療法といえます。 ただし、抗原特異的経口免疫療法の安全性には課題もあり、年齢、重症度、投与方法、投与期間、副作用などの検証が急がれています。
ナオル先生、また内容が難しくなってきましたよー・・・。 ええと、アレルギーの原因になる食べ物に対して、お薬で、耐性をつけていくのですね。でも、まだまだ課題もある、と。 ちなみに「寛解」とは、症状が一時的に落ち着いて安定した状態という意味です。難しい医学用語の解説はこちらにも記載しています。 ▶︎ がん告知の時に知っておきたい、わかりにくい病院用語。解説します
間違って食べてしまったときの対応は?
もし、アレルギーの食べ物を口にしてしまったら、どうしたらいいんですか?
誤ってアレルゲンを含む食物を摂取した場合、吐き出したり、口内・胃の洗浄などを行ったりして、すぐにアレルゲンを取り除きます。その後、常備薬を使用し、症状を観察します。 症状が悪化する場合はアドレナリン(エピネフリン)の注射をしますが、すみやかに医療機関を受診しましょう。 ◆アレルゲンを含む食品を口に入れた時 →口から出し口をすすぐ →口腔内違和感は重要な症状 →大量に摂取した時には誤嚥に注意して吐かせる ◆皮膚についた時 →さわった手で眼をこすらないようにする →洗い流す ◆眼症状(かゆみ、充血、球結膜浮腫)が出現した時 1緊急常備薬(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド薬など)を内服し、症状観察→洗眼後、抗アレルギー薬、ステロイド剤点眼 →1-1:30分以内に症状の改善傾向が見られたとき→そのまま様子観察 →1-2:皮膚・粘膜症状が拡大傾向にある時、また咳嗽、声が出にくい、呼吸困難、喘鳴、傾眠、意識障害、嘔吐・腹痛などの皮膚・粘膜以外の症状が出現した時 →アドレナリン自己注射器使用を考慮 →医療機関を受診&救急車も考慮
ナオル先生、ありがとうございました。
まとめ・・・お医者さんに聞いた食物アレルギーとは? イエルのメモまとめ
いかがでしたか?ナオル先生に聞いた食物アレルギーで知っておきたい基本情報。ここで、イエルがまとめたメモを元に、おさらいしますね。
- アレルギーとは、免疫の過剰反応。
- 食物アレルギーは、特定の食物に対して起こるアレルギー反応のこと。
- 症状は、最も多いのは皮膚症状であり、じんましんが出る、かゆくなる、皮膚が赤くなる、顔が腫れる。
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