食道癌(食道がん)

食道癌(食道がん)
【どんな病気?】
食道にできる悪性腫瘍(がん)を指します。アルコール、喫煙、熱い食べ物などの常用が誘因といわれています。緑黄色野菜、果物の摂取は予防する因子であり、野菜や果物を摂取せずビタミン欠乏になると発がんの危険因子になると言われています。性別では約6:1で男性に多く認められ、60歳以上の男性に多くみられます。
【体の症状は?】
初期においては無症状であることがほとんどです。また早期の症状として「食べ物を飲み込んだ時にわずかにしみる」「胸の奥がチクチク痛む」を時々自覚します。進行すると食事中の嚥下困難や体重減少となります。また反回神経という神経に浸潤すると嗄声(させい:かすれた声)となり、気管支まで浸潤すると咳や痰が顕著になり、肺炎も併発する場合があります。
【検査】
上部消化管造影(バリウム):食道を造影します。
上部消化管内視鏡検査:内視鏡で食道の内部の状態を直接確認します。早期のガンは小さく肉眼だけでは見えにくいこともあり、色素(ルゴール液)で着色して精密検査を行います。色素を使うと、病気の部分をはっきりと区別して観察することができます。
最終的には、生検(体内組織)を採取して、顕微鏡で診断します。また、食道ガンと診断された場合、転移がないかを調べるために、CTや超音波検査を行います。
さらに詳しく→ 内視鏡検査って何をするの? :生検(体内組織)についての詳細があります
【治療・処置】
食道がんは多くの場合無症状のため、20%ほどは、たまたま健康診断や人間ドックの時に、内視鏡検査などで発見されています。当然、無症状で発見された食道がんは早期のがんであることが多く、最も治る確率が高いと言えます。
上皮内癌(粘膜内に留まるもの)
- 内視鏡的粘膜切除術: 早期がんは小さく、内視鏡を使って切除が可能です。切除対象はガンが食道の粘膜の表面に留まり、深く進行していないことが条件となります。
進達度が粘膜下層以上のがん
- 切除が可能の場合、手術が選択されます。手術と化学療法の併用で、病巣部を含めた食道切除+リンパ節郭清+胃吊り上げ+化学療法(抗がん剤)を行っていきます。他の臓器に転移が見つかった場合には、手術の前に化学療法や放射線療法を行うこともあります。
- 手術ができない場合(手術で取りきれない場合)は、化学療法と放射線療法を行います。
非常に進行した段階で発見されて、食事ができないなどの問題がある場合には、食道の中にパイプを通したり(食道ステント術)、パイバスを作ったりして、とりあえず食事を通すための治療をすることがあります。