胃癌(胃がん)

胃癌(胃がん)
【どんな病気?】
胃がんとは胃の悪性腫瘍を指します。
国立がん研究センターの「がん診療連携拠点病院の院内がん登録数」実績調査では、2007年開始より第1位を占めていたのは胃がんでした。 しかし、定期検診の普及、治療法の進歩により、年齢調整罹患率、年齢調整死亡率ともに年々減少傾向にあり、2013年では調査以来初めて第2位となりました(第1位は大腸がん)。
この調査で、各病院でがんの登録をされた約65万症例のうち、胃がんは男女合わせて75,265症例です。(なお、この調査は登録病院での調査のため、がん罹患数は日本全体の約70%にあたるとされています。)
胃がんは50~60歳代に多い病気で、女性より男性に多くなっています。発がんの原因は、一番にはヘリコバクター・ピロリ菌感染が考えられます。そのほか、喫煙、食塩、高塩分食品の摂取も発がんの原因の一つとして考えられています。 胃がんは早期に発見し、早期に治療を受ければ、5年生存率が非常に高くなります。しかし自覚症状が出てから、がんが見つかった場合、5年生存率は50%以下に低下します。
さらに詳しく→よくわかるピロリ菌
【体の症状は?】
早期胃がんは症状が少なく、検診にて偶然見つかることが多くなっています。 進行胃がんの症状は腹痛、嘔気、食欲不振、吐下血による貧血、がんによる食物の通過障害からの体重減少、全身衰弱が主なものです。急に体重が減ったりして、徐々に全身状態が悪くなってきたら注意が必要です。
【検査】
胃がんの検査には上部消化管造影(バリウム検査)、上部内視鏡検査(胃カメラ)があります。
上部消化管造影(バリウム検査):胃がんを発見のため検診で行われている検査です。バリウムを飲んで、食道から胃・十二指腸までの上部消化管を造影し、レントゲン撮影をして、それらの臓器の病変を診断します。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ):胃がんの存在を疑った場合に行われる検査です。胃カメラを施行し、疑わしい場所があった場合には、病理組織検査(組織を取って顕微鏡で診断し)で確定診断をつけます。
さらに詳しく→ 内視鏡検査って何をするの?
胃がんであることが確認されたら、様々な検査を行いその深達度(どのくらいの深さまで浸潤しているか)を調べます。 胃壁への浸潤が浅ければ早期ガン、深ければ進行ガンと分類します。なお深達度の判断には超音波内視鏡も使用されます。転移の有無を調べるためには全身の検査(CT,超音波)を施行します。
【治療・処置】
内視鏡手術(内視鏡下粘膜切除術):早期のがんのうち、粘膜の表面にがんが留まっており、リンパ節転移が無いと考えられる場合は、内視鏡にて切除することが可能です。内視鏡下粘膜切除術の適応は、20㎜以下、粘膜までの深さで潰瘍形成のない性格のおとなしい種類のがん(分化型がん)です。この条件に入らない場合は、拡大適応になり、施設によって基準の幅が見られます。手術に比べればずいぶん安全な治療法ですが、出血や穿孔(胃の壁に穴があく)などの危険性はあります。
外科的手術:リンパ節転移が疑われる胃がんの治療には外科的手術が行われます。胃切除+リンパ節摘出(郭清)術が行われます。胃がんの存在する部位とリンパ節郭清範囲の違いにより胃全摘術、幽門側胃切除術、噴門側胃切除術などが行われます。
外科的手術には、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。腹腔鏡下手術では腹部に約1cm程の穴を2、3箇所開け、そこから腹腔鏡や鉗子類を挿入し、胃がんを部分切除します。一般の開腹手術よりおなかを大きく開けなくて済むため、患者の負担は少なく回復も早い治療法です。
化学療法:いわゆる「抗がん剤」です。進行がんや再発がん、転移の激しいがん、手術不可能な場合に適応されます。抗がん剤はがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を死滅させるように働きますが、正常な細胞にも影響し、強い副作用があります。
術後補助化学療法:外科的手術を施行した後、再発予防を目的として行われる化学療法です。 がんの進行度から術後補助化学療法を推奨されたグループに入った場合には、飲み薬の抗がん剤を術後1年間飲むことになります。