逆流性食道炎

◆逆流性食道炎
【どんな病気?】
胃酸や胆汁が食道に逆流し、食道の粘膜が炎症を起こす疾患です。食道裂孔ヘルニアのある方、胃の手術後(胃切後)の方、気管支喘息を持っている方に多く見られます。
【体の症状は?】
胸焼けと呑酸(どんさん:すっぱい液体が上がってくること)が主症状です。強い炎症が続くと、ものが飲み込みにくくなったり(嚥下障害)、咳が出たり(慢性咳嗽、喘息様発作)、出血したりすることもあります。進行するとみぞおちの痛みを訴えることもあり、心臓疾患の発作と紛らわしい場合があります。週に何度起きるのか、持続時間はどれくらいか、夜間起こるか否か、食事との関係はどうか、前屈姿勢で増強するかなどを確認することが重要になります。
【検査】
上部内視鏡検査(胃カメラ):内視鏡で、胃–食道接合部の炎症を確認します。逆流性食道炎の内視鏡的分類には、ロサンゼルス分類という分類法が使用されます。
内視鏡的に何も所見がない場合は非びらん性胃食道逆流症と呼ばれています。所見のあるものとともに合わせて、胃食道逆流症(GERD)と呼ばれます。
さらに詳しく→ 内視鏡検査って何をするの?
【治療・処置】
逆流性食道をはじめとする胃食道逆流症(GERD)の治療には、生活習慣の改善、薬物療法、外科的治療などがあります。
生活習慣の改善
正しい食生活は予防の基本です。「寝る直前には食べない」ということが非常に重要です。食べた後、すぐに横になってしまうと物理的に胃内の食べたものが食道に逆流してしまうので食直後の臥位禁止です。肥満も腹圧が上がり胃内容物が逆流しやすくなります。その他、禁煙することや、腹部を圧迫するような服装を避けるなど生活習慣を改善することが重要です。
薬物療法
胃酸分泌を抑制する内服薬にて治療を開始します。治療に使用される薬剤は、プロトンポンプインヒビター(PPI)、H2ブロッカー(H2B)の2つが主流です。日本消化管学会の胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインでは、プロトンポンプインヒビター(PPI)が第一選択薬になっています。その他、消化管運動機能改善薬や抗不安薬を併用する場合もあります。
外科的療法
生活療法や薬剤療法でコントロールできない場合は外科的治療の適応となります。腹腔鏡を使った手術になりますが、高度の技術が必要な手術ですので専門機関の医師とよく相談してください。
逆流性食道は再発の多い病気
そのため、長期的な管理が必要となります。重症の場合は、狭窄や穿孔を予防する必要があり、また、長期的な経過をとると特殊な粘膜(Barrett食道)になってしまうこともあります。この特殊な粘膜(Barrett食道)には、がんを発生することがあるので、より慎重な経過観察が必要です。
なんだか怖いことを言ってしまいましたが、基本的に逆流性食道炎は、良性の病気ですので、しっかりとした治療をすれば問題ありませんので心配はいりません。