肝硬変(かんこうへん)

【どんな病気?】
肝硬変とは、いろいろな肝臓の病気の影響で肝臓全体が硬くなり(線維化)、でこぼこ(再生結節形成)になってしまった状態です。
さまざまな肝臓の病気の終末像です。多くの場合、良くなることはなく(不可逆的)、長い年月をかけ、慢性的に、進行性の経過を取ります。
全国には40~50万人の肝硬変の人がいて、年間約17000人が肝硬変で死亡しています。その原因の70%がC型肝炎ウイルス、20%がB型肝炎ウイルスで肝炎ウイルスによるものがほとんどです。アルコールが原因の肝硬変も5~10%認めます。
男女別では、中年男性に多くみとめる病気です。
【体の症状は?】
全身倦怠感、易疲労感、腹部膨満感、食欲不振があります。肝硬変が進行すると脳にも影響が出て肝性脳症になります。そうなると意識障害が出ます。
皮膚や身体の変化としては、くも状血管腫、手掌紅斑、毛細血管拡張症、女性化乳房、ばち指、腹壁静脈怒張、黄疸、肝性口臭などを認めます。その他、腹水、消化管出血、腹膜炎を認めることもあります。
(くも状血管腫)
(毛細血管拡張症)
(手掌紅斑)
【検査】
血液・尿検査
肝臓はさまざまな働きをしているので、肝硬変になるとさまざまな血液の異常が出現します。
血清タンパク異常・・低たんぱく血症、低アルブミン血症
肝機能異常・・・・・ビリルビン上昇 コレステロール低下 AST ALT ALP上昇 アンモニア上昇
血算の異常・・・・・血小板減少
凝固系異常・・・・・フィブリノーゲン減少、PT延長
耐糖能異常・・・・・血糖値上昇
超音波検査
肝臓の表面や辺縁が不整に認められます。肝臓内部のエコーは不鮮明となります。肝硬変の程度により、腹水や副血行路を認めます。
CT検査、MRI検査
肝臓の辺縁不整像、腫大した脾臓、副血行路を認めます。
【治療・処置】
安静、食後数時間の臥床により肝臓への血液量を豊富にするようにして肝臓を守ります。必ず禁酒をします。高カロリー食、減塩食などの食事療法も行います。
肝性昏睡を起こした場合には低たんぱく食の食事療法、便秘の回避、分子鎖アミノ酸製剤の投与などを行います。
消化管出血があった場合には、輸液、輸血、酸素吸入を行い全身状態を保ちながら、緊急内視鏡にて出血部の観察と止血を行います。
腹水や浮腫があった場合は、減塩食、水分制限、アルブミン製剤、利尿剤投与などを行い改善を目指します。