腹直筋鞘血腫(ふくちょくきんしょうけっしゅ)

【どんな病気?】
腹直筋鞘血腫はお腹の壁(腹壁)にできた血の塊(血腫)のことです。
腹壁の血管(上・下腹壁動静脈)が破綻してでき、腹直筋の鞘に血腫ができてしまいます。発症すると強い腹痛をおこすため、以前は虫垂炎や卵巣嚢腫茎捻転など間違われて、手術をされてしまうこともありました。原因は明らかなものがない(特発性)ものもありますが、外傷、くしゃみ、持続する咳嗽によるものや、抗凝固療法、運動などさまざまなものがあります。非常にまれな病気です。
【体の症状は?】
強い腹痛を引き起こします。出血が広がればCullen徴候(臍部の皮膚着色)やGrey Turner徴候(側腹部の皮膚着色)など皮膚の変化を引き起こします。
【検査】
腹部CT検査、超音波検査
腹部超音波検査は特徴なものはありませんが、腹部CT検査では腹直筋内の造影効果の乏しい高吸収腫瘤、隣接する腹壁の腫大が認められます。
【治療・処置】
治療は多くの場合、安静にし保存的に様子を観察します。血圧など大きな変化がなければ、そのまま、血腫が吸収されるのを待ちます。大量出血のため血圧などが大きく変化する場合には点滴から凝固因子の補充や輸血、血管内治療や外科的手術が必要になることもあります。