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子供の高熱、下がらない、原因が分からない・・・そんな時に知りたい情報をまとめました

 2016/03/18 コラム 子供 症状
この記事は約 9 分で読めます。

熱が出たらまず行うこと・・・子供・赤ちゃんの熱、慌てないで

熱は、様々な要因で出ます。発熱時には、まず熱が病的なものであるか確認を行いましょう。

子供の体温の正常値は35.0~37.4℃です。

子どもの体温って、外気(暖房)、衣服(厚着)などの環境の変化によっても上昇します。また、興奮、緊張など、心理面への強い刺激で交感神経が刺激されたことによっても、熱が高くなります。熱が高い、と思ったら、洋服を調節したり、部屋の温度や、掛布団など条件を変えて、数回、体温を測定してみましょう。

熱の発生時に、起こっていること。ふるえや汗はいつ出るの?

熱は、理由があって出ています。そして、からだが熱を出して回復するまでにも、順番があります。

順を追って、見ていきましょう。

1、熱の出はじめ

病気と戦うために、からだは高い熱を必要としますので、発熱と同時に、「ふるえ」が見られることがあります。

熱の出はじめ、からだは、まず末梢血管を収縮させ、熱の放散を防止します。

このため、発熱の初期には顔面がに青白くみえます。それでも熱が不足すると、筋肉を震わせて熱を発生させます。これが「ふるえ」になります。

2、熱が上がりきる

からだが必要とする分まで熱が上がれば、震えは自然に止まり、顔色もよくなります。

3、回復期

熱が上がり切った後、回復期に入ります。ここで初めて、汗が出ます。

回復期とは、からだが高い熱を必要としなくなるので、不要の熱を放散するために発汗し、熱を下げる時期のことです。

熱を早く下げるためにできること、何かあるの?

熱が下がっていくのは、自然の経過のため、からだを温めるといった手当てをしても、同じ結果となります。
とにかく温めればいい、と思われている方も多いと思うのですが、実は過剰に温めて、無理に汗を出させても早く治るということはありません。
以下、回復時に知っておきたい注意点です。

・回復期には汗が出ますので、衣服の着替えをまめに行います。
・入浴は、体力を奪うので、熱が下がってから行うようにします。
・脱水状態になるので、水分補給をまめに行います。
・頭部を冷やすときには、冷蔵庫で冷やした保冷剤(アイスノンなど)を使用すると効果的です。ただし、冷やしすぎないように注意します。

熱による脳障害は残る? 解熱剤の使い方

熱が非常に高くなっても、熱だけでは脳に障害が出る心配はありません。

ばい菌が侵入すると、からだは、外敵以上の熱を出して活動を抑えようとします。熱はからだが、ばい菌と戦っているサインなのです。そのため、必要以上に解熱剤を使用することは控え、発熱でつらいときにのみ解熱剤を使用していきましょう。解熱剤は、熱を下げるだけで病気を治すわけではありません。解熱剤の効果がなくなれば、また熱は上がります。

子ども用には、アセトアミノフェンという成分の解熱剤を使用します。発熱したら使用するもので、定期的に使用したり、予防目的では使用しません。過剰に使用しないようにしましょう。

生後3か月までの赤ちゃんの熱は別物。すぐに診察を。

あかちゃん

生後3か月までの子どもは、胎児のときに母親から受け継いだ免疫グロブリンにより、一般的に発熱しない、といわれています。そのため生後3か月以内に発熱した場合は、重大な感染症が疑われるおそれがあり、迅速に対応する必要があります。

免疫グロブリンは、病原体と戦う免疫反応のときに活躍する物で、IgM、IgD、IgG、IgE、IgAの5種類があります。出生後すぐには、まだ自分で免疫グロブリンを作り出すことができず、すべて少ない状態です。ただし、免疫グロブリンのうちIgGは、胎盤を通過して母親から胎児に受け継がれるため、出生時は、IgGの量が多くなっています。また、IgAは、母乳を通じて子どもに移行します。

したがって、母乳を摂取することも、ばい菌と戦う免疫を獲得するためには、非常に大切なことになります。

熱の原因は? 発熱がある代表的な病気

ここでは、熱が出る主な病名について、上げていきます。気になる場合は速やかに病院を受診しましょう。

(1)風邪症候群

鼻汁、鼻閉、くしゃみ、咽頭痛、声のかすれ、咳、痰(たん)などが見られますが、食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器症状や、呼吸困難、呼吸不全などの激しい呼吸器症状が見られず、他の疾患が除外できるものをいいます。体温が徐々に上昇し、微熱が出たり、38~40℃の高熱が出ることもあります。

(2)インフルエンザ

冬から春先に多く流行します。突然、38℃以上の高熱が出るとともに、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感が現われます。また、元気がない、食欲がない、ぐったりしているといった様子が見られます。乳幼児は、自分の不調や症状をはっきりと訴えることができません。このため、不機嫌になったり、歩くことを嫌がったり、抱っこから降りなくなったりします。

(3)突発性発疹

咽頭痛、咳、鼻水などの症状がない高熱が2~4日続きます。熱が下がるとともに、顔、首、胸、腹などの体幹部に丘状紅斑(きゅうじょうこうはん:皮膚に見られる赤みを伴った直径1cm以下の大きさの隆起)が現われます。

(4)麻疹(はしか)

上気道感染(鼻、咽頭部に病原体が感染したことで起きる疾患)が起き、両頰の裏側の口内粘膜にコプリック斑(はしかの時に現れるほおの内側の白いぶつぶつ)がわれます。熱が3~4日続き、少し下がった傾向がみられた後、再度高熱が出ます。

(5)風疹(三日ばしか)

首や後頭部のリンパ節が腫れ、発熱と同時に、顔面、体幹に発疹が現われます。

(6)水痘(水ぼうそう)

一般的には、発熱し、全身倦怠感が出て、体幹を中心に紅斑が現われます。ただし、子どもの場合は、発熱しないことも多いです。紅斑は、熱が下がった後、水疱または膿疱、痂皮(かひ)へと変化します。
急性小脳失調症、水痘髄膜炎を合併することもあります。

(7)ヘルパンギーナ

突然、39℃以上の高熱が出るとともに、口蓋垂(こうがいすい、喉の奥にある垂れた部分)の周囲など口腔内にアフタ(白い潰瘍状のもの)が現われます。

(8)流行性耳下腺炎(おたふく風邪)

耳下腺(多くの場合、両側)が腫れ、熱と腹痛が見られます。

(9)咽頭結膜炎(プール熱)

咽頭炎や結膜炎とともに、突然、39℃以上の高熱が出ます。

(10)伝染性単核球症

10歳以上(20歳代まで)に多く見られます。全身のリンパ節の腫れ、咽頭痛とともに、弛張(しちょう
)熱といい、1日のうちに1℃以上の上下を繰り返す熱を出します。発疹や肝脾腫(かんぴしゅ:肝臓と脾臓が肥大した状態)を合併することもあります。

(11)A群β溶血性レンサ球菌感染症(猩紅熱 しょうこうねつ)

幼児期~学童期に多く見られます。咽頭炎や扁桃炎とともに、39℃以上の高熱が出ます。全身に発疹が現われます。

(12)リウマチ熱

5~15歳に多く見られます。A群β溶血性レンサ球菌が原因し、39℃前後の熱が出ます。

(13)川崎病

4歳以下の乳幼児のうち、男児に多く見られます。原因不明の全身性の血管炎です。以下6つの症状が判断基準となります。

  1. 5日以上続く発熱(38度以上)
  2. 発疹
  3. 両方の目が赤くなる(両側眼球結膜充血)
  4. 唇が赤くなったり、イチゴ舌(舌の表面にイチゴのような細かい粒状のものが出る)が見られたりする
  5. 病気の初期に手足がはれたり、手のひらや足底が赤くなったりする、熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける膜様落屑(まくようらくせつ)がある。
  6. 片側の首のリンパ節が腫れる ※熱が下がってから、爪の先から皮膚がむけてくる

(14)細菌性髄膜炎

発熱のほか、極度の不機嫌、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどが見られます。

▶熱と共に、赤いぶつぶつ、発疹を伴う感染症のまとめはこちら
→ 体に突然出る赤いぶつぶつ・・・子供・赤ちゃんの突然の発疹・感染症のまとめ

発熱のときの登園禁止、登校禁止について保育園のガイドラインの対応とは?

幼稚園

熱が出た時の対応について、保育所での対応の方針をまとめたガイドライン(政府や団体が示す、大まかな指針や指導目標のこと)を見ていきましょう。保育園の先生たちは、これに従っているというものになります。参考になります。

保育所における感染症対策ガイドライン(2012年改訂版)より

1.登園を控えるのが望ましい場合

*発熱期間と同日の回復期間が必要

  • 朝から37.5℃ を超えた熱とともに元気がなく機嫌が悪い、食欲がなく朝食・水分がとれていない
  • 24時間以内に解熱剤を使用している
  • 24時間以内に38℃以上の熱が出ていた

*1歳以下の乳児の場合(上記にプラスして)

・平熱より1℃以上高いとき(38℃ 以上あるとき)

2.保育が可能な場合

*前日38℃を超える熱が出ていない

  • 熱が37.5℃以下で元気があり機嫌がよい、顔色がよい
  • 食事や水分がとれている
  • 発熱を伴う発疹が出ていない
  • 排尿の回数が減っていない
  • 咳や鼻水を認めるが増悪していない
  • 24時間以内に解熱剤を使っていない
  • 24時間以内に38℃以上の熱は出ていない

3.保育者への連絡が望ましい場合

*38℃ 以上の発熱がある

・元気がなく機嫌が悪い
・咳で眠れず目覚める
・排尿回数がいつもより減っている
・食欲なく水分がとれない

※熱性けいれんの既往児は医師の指示に従う

4.至急受診が必要と考えられる場合

*38℃以上の発熱の有無に関わらず

  • 顔色が悪く苦しそうなとき
  • 小鼻がピクピクして呼吸が速いとき
  • 意識がはっきりしないとき
  • 頻繁な嘔吐や下痢があるとき
  • 不機嫌でぐったりしているとき
  • けいれんが5分以上治まらないとき
  • 3か月未満児で38℃以上の発熱があるとき

まとめ 子どもと赤ちゃんの熱、お母さんの観察と感覚が大事

子どもも赤ちゃんも、自分ではうまく症状を伝えられませんよね。子供は、言葉にできないことを、態度や体の表情として、表現します。ですので、周囲の大人がいつもと違う様子に気が付いてあげる必要があります。

1.体温
2.機嫌
3.泣き方
4.顔色
5.皮膚
6.睡眠の様子
7.食欲や食べ具合

これは、毎日子供を見ていくのに使いやすいポイントです。(家庭だけではなく、幼稚園や学校でも使われるポイントです)
「あれ?いつもと違うかも」「ちょっとおかしいな・・・」と思うお母さんの感覚、とっても大切です。違和感を見つけたらその感覚を信じて対応していきましょう。

 

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ナオル

ナオル

こんにちは。日本を健康にすべく健康惑星からやってきたナオルです。

僕、こう見えて医者なんです。人間の体って面白い。特に、地球上生物の栄養摂取と排泄の仕組みは興味深い(僕たちは食べませんから)。そんなわけで、専門分野は消化器、肛門疾患です。今日も日本中から集めた論文や臨床に基づいた確かな情報をお届けします。

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