肝膿瘍(かんのうよう)

【どんな病気?】
肝膿瘍(かんのうよう)とは、さまざまな原因で、肝臓に細菌、真菌、原虫などの感染がおきて膿瘍(のうよう)を形成する病気です。
感染経路には、胆管炎(たんかんえん)などからの場合(経胆道系)、肝臓への血液からの場合(経門脈系、経動脈性)、直接、肝臓に感染する場合(直達性)があります。
肝膿瘍は、その感染の原因で細菌性とアメーバ性の2つに大きく分けられます。
細菌性肝膿瘍は、膿瘍が多発し、高齢者の胆管炎に続発することが多いものです。一方、アメーバ性肝膿瘍は膿瘍が単発で海外渡航者、同性愛者、HIV合併例、中年男性に多く認めます。また、アメーバ赤痢後、数年を経て発症することがあります。
【体の症状は?】
悪寒戦慄を伴う発熱、右季肋部痛、肝腫大が肝膿瘍の3大症状と呼ばれています。その他、全身倦怠感や、肝臓の叩打痛などを認めます。
【検査】
血液検査
白血球の上昇など炎症反応を認めます。また、肝機能の悪化を認めることもあります。
腹部造影CT検査
肝臓に、辺縁が造影剤によりリング状に濃染する黒い領域(低吸収域)を認めます。
【治療・処置】
細菌性肝膿瘍とアメーバ性肝膿瘍で治療方針は変わってきます。
細菌性肝膿瘍の場合
抗菌薬投与、経皮的ドレナージ(局所麻酔をして身体の外から針を刺して膿瘍を外に出す。)
アメーバ性肝膿瘍の場合
抗アメーバ薬投与