ファーター乳頭部がん(ファーターにゅうとうぶがん)

【どんな病気?】
胆管が十二指腸に注ぐ場所を「ファーター乳頭部」と言います。
ファーター乳頭部には、胆管の他に、膵管も注ぎ込みます。最終的に、胆管と膵管は共通管となり、ファーター乳頭部の周りはオッディー括約筋という筋肉で囲まれます。そのファーター乳頭部にできた悪性腫瘍のことをファーター乳頭部がんといいます。
60歳代の男性にやや多くみられます。十二指腸のファーター乳頭部にできた腺腫(せんしゅ:良性の腫瘍のこと)が発がんの危険因子と考えられています。
【体の症状は?】
早期から黄疸(おうだん)の症状がみられることが多くなっています。胆管の閉塞のみならず、膵管も閉塞するため膵炎を合併し、腹痛や発熱がみられます。がんの部分が潰瘍を形成すると、出血して貧血がみられる場合があります。
【検査】
血液・尿検査
閉塞性黄疸を止める場合、直接ビリルビンの上昇、胆道系酵素の上昇がみられます。
上部内視鏡検査
十二指腸内視鏡にてファーター乳頭部に腫瘍を認めます。生検(組織の一部を採取して行なう検査)を行うことで、確定診断ができます。
超音波検査、CT検査、MRI検査
下部胆管に腫瘍と、その上流の胆管の拡張がみられます。
この検査は、周囲組織への進展の程度、リンパ節転移の有無の診断に有用です。3Dで胆管を描出することが可能なMRCPでは造影剤を使用せずに、胆管の狭窄、上流の拡張像を認めることができます。
【治療・処置】
胆管ドレナージを行った後、膵島十二指腸切除術を行います。
早期から黄疸がみられることが多いので、早期発見ができます。そのため予後は比較的良好です。(5年生存率30~50%)