劇症肝炎(げきしょうかんえん)

【どんな病気?】
劇症肝炎とは、急性肝障害を起こす肝臓の病気の一つです。
急性肝炎の患者さんの0.5~1%程度に生じていて年間500人程度の患者さんがいます。劇症肝炎は肝炎の中でも重症なもので、急性肝障害に意識障害と肝不全を伴います。
予後は非常に不良で、命の危険となる致命率は70~80%にもなります。劇症肝炎の原因で最も多いものはウイルス性肝炎です。急性ウイルス性肝炎の1%くらいが劇症化します。ウイルス性肝炎の中でも、急性B型肝炎が最も劇症化率が高いです。その他、薬剤性、自己免疫性肝障害などが原因で劇症肝炎になる場合もあります。薬剤性では鎮痛薬、抗菌薬などによるものが多くなっています。
【体の症状は?】
全身症状と神経症状を認めます。全身症状としては、発熱、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、肝性口臭、黄疸、頻脈、腹痛などがみられます。神経症状は意識障害や、鳥が羽ばたいているように手が振戦すること(羽ばたき振戦)を認めます。
【検査】
血液検査
ビリルビンの著明な上昇、アルブミンの低下、アンモニア上昇、凝固系の異常所見などの肝機能障害を認めます。
腹部超音波検査
萎縮した肝臓と、その周辺に著明な腹水を認めます。
【治療・処置】
非常に致死率が高いため、治療は数週間のあいだ患者さんの生命を守ることに全力を尽くします。全身症状のコントロール、肝再生促進、合併症の防止対策が大切になります。その上で、血漿交換療法や肝移植、そのほか補助療法が行われます。