髄膜炎(ずいまくえん)

【どんな病気?】
脳を包んでいる膜を髄膜と言います。髄膜は外から硬膜、くも膜、軟膜の3枚の膜からなります。この一番内側の膜である軟膜の炎症(軟膜炎)を一般に髄膜炎と言います。
髄膜炎の原因のほとんどは病原体の感染によるもので、病原体には数日の急性経過をとるウイルス・細菌、2週間以上の亜急性経過をとる結核や真菌があります。まれには腫瘍によるもの、自己免疫などによる髄膜炎もあります。
感染した病原体はくも膜下腔を通じて、脳、脊髄、視神経、脳室へと広がり、発熱を伴った髄膜刺激症状を認めます。
【体の症状は?】
発熱、頭痛(頭部をすばやく左右に揺り動かすことで増悪するのが特徴)、悪心・嘔吐、意識障害、けいれんなどを認めます。その他、下記のような髄膜刺激症状を認めます。
髄膜刺激症状
頸部硬直
仰臥位で頭部を持ち上げ首を前方へ曲げると、抵抗を認め、痛みを出す反応
ケルニッヒ徴候
仰臥位で片方の膝を曲げた状態から膝を押さえながら素早く伸ばさせると頸部に痛みをだす反応
【検査】
髄液検査
髄液を採取し、その外観、細胞数、蛋白量、糖などを調べて髄膜炎の原因を調べることができます。
【治療・処置】
一般にウイルス性髄膜炎の場合は対症療法のみで経過観察します。
細菌性髄膜炎は緊急に対応しなければならない病気の1つなので速やかに病原体同定前から疑われる菌を予想して、抗菌薬を投与します。
強い意識障害を伴う場合には強力な抗菌薬とともに炎症を抑えるために副腎皮質ステロイドを投与することもあります。