前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)

【どんな病気?】
前庭神経炎では、内耳にある器官である「蝸牛」「前庭」をつかさどる前庭神経に炎症が起こり、脳に正しい情報が伝わらないために平衡感覚に異常が出ます。
なぜ炎症が起こるのかは不明の病気です。男性にやや多く、発症年齢は50歳代に多いとされています。
【体の症状は?】
突発的に立っていられないほどの激しいめまい、回転性めまい(ぐるぐるする)がみられます。
発作は1回のことが多く、1日~3日間持続します。回転性めまいが軽快した後も、歩行時のふらつき感が長期間持続します。その他、吐き気などを認めます。しかし、めまいに随伴する難聴、耳鳴、耳閉塞感などの症状を認めません。
【検査】
眼振検査:
回転性めまい発作時に自発的に、また、頭の位置を変えたときに眼振を認めます。
温度刺激検査:
前庭神経炎の診断に重要な検査です。温度刺激検査とは、耳に冷たい水またはぬるま湯を入れて耳を刺激して、眼振やめまいが起こるかどうかを調べる検査です。温度刺激検査により患側の温度反応高度低下、又は無反応を認めます。
聴力検査:
聴力検査では、正常聴力またはめまいと関連しない難聴を認めます。この検査を行うことで、小脳などの中枢性疾患のめまい疾患を除外することができます。
【治療・処置】
自覚症状が強い超急性期では、入院し安静を保たせます。めまい、嘔気、嘔吐に対し、薬剤を投与して軽減を図り、不安が強い場合には抗不安薬を投与します。 急性期が過ぎれば、早期に離床を促し、慢性期には平衡訓練などのリハビリテーションを行います。