緑内障(りょくないしょう)

【どんな病気?】
緑内障は我が国の失明する病気の常に上位を占めています。
2000年から行われた詳細な緑内障疫学調査では40歳以上の緑内障の有病率は推定5%と報告されています。
緑内障は、「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義付けされています。
このように、緑内障は眼圧が高いことで起こる病気と考えられていますが、疫学調査では、緑内障有病率5%のうち眼圧が正常であった緑内障が半数以上の3.6%を占めていました。そのため、現在は、眼圧の高低により緑内障の診断を行うことが適切ではないと言われています。
緑内障の分類としては大きく
1、原因が不明の原発緑内障、
2、何らかの疾病に続発する続発緑内障、
3、眼圧を調節している隅角部分の形成異常に起因する発達緑内障
に分けられています。
【体の症状は?】
眼痛を認め、場合によっては頭痛や眼の充血を伴います。また、目の前に霧がかかったように見える症状である霧視(むし)を認めます。
【検査】
眼圧検査:
眼圧が正常の緑内障があるとはいえ、眼圧測定は緑内障の診断に非常に重要です。眼圧には日内変動、季節変動があり、一般的に冬に高く、
夏に低いことが知られています。
眼底検査:
眼科的検査の基本となる検査です。目の神経(視神経)の周囲に異常がないかのチェックなどを行います。
隅角検査:
緑内障の分類や病因の推定に大切な検査です。隅角は眼圧を調節する部分であるので、その異常がないかを検査します。
視野検査:
緑内障では視野に異常を認めることが多いので、視野の検査も重要です。
【治療・処置】
緑内障の治療で現在のところ唯一確実なものは眼圧を下降させることです。
緑内障では一旦障害された視機能が回復することはないため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
また、一生涯治療を継続しなければならないため、薬物治療においては必要最小限の薬剤で最大限の眼圧下降効果を得るような工夫が大切で、場合によっては手術療法が選択されます。
点眼による薬物療法では、点眼の方法や注意点などを的確に指導することが大切です。注意点としては点眼前の手洗い、点眼瓶の先がまつげに触れないようにすること、点眼は1回1滴、眼の周りにあふれた薬液はふき取るあるいは洗い流す、点眼後しばらく涙囊(目頭)を圧迫、複数の点眼薬を併用する際には5分以上の間隔をあけることなどがあります。
薬物療法やレーザー治療などでも十分な眼圧下降が得られない患者さんには手術療法を施行します。手術は決して視機能の回復が得られるものではなく、場合によっては合併症や偶発症により視機能の低下を引き起こす可能性のある手技であることを理解する必要があります。
一方で、手術を忌避して適切な手術時期を逸してしまう例も多くあることから、バランスのよい治療方法の選択が重要となります。