脳梗塞(のうこうそく)

【どんな病気?】
脳梗塞とは、脳内血管がつまりと脳の組織が梗塞(壊死状態)になってしまうものです。
動脈硬化などにより狭くなった血管がつまる「脳血栓症」と、血栓が脳に運ばれ脳血管がつまる「脳塞栓症」が原因として挙げられます。脳の血管が詰まると、酸素や栄養が送られないために脳の細胞が死んでしまい、障害が出ます。
脳血管障害は、日本で死亡原因の第4位であり、死亡しなくても寝たきりになる最も大きな原因となっています。
脳の血管がつまっても早期に脳の血流が改善すると脳梗塞を免れたり、障害を最小限で食い止めることが可能になりますので、症状の出現(前兆)を見極め、正しい治療が重要となります。
高血圧、高脂血症、糖尿病などの治療中に手足が麻痺したら1~2時間以内に専門病院に駆けつけなければいけません。麻痺の原因が脳梗塞の時、最新治療が有効なのは発症数時間以内です。翌日まで麻痺を我慢していては、ある程度の後遺症が残ることは覚悟しなければなりません。
【体の症状は?】
脳梗塞がどの場所に起こるかによって症状は変わってきます。その程度も、ふらつきや嚥下困難だけの軽度のものから、意識障害、麻痺、感覚障害、言語障害、失語症など重度のものまで多彩です。
【検査】
MRI検査:
脳梗塞の早期診断・治療にはMRIが不可欠です。さまざまな条件のMRI画像で脳梗塞の病変は白く映しだされます。血管を映しだすMR検査(MRA)で梗塞部に向かう血管の途絶を認めます。
CT画像:
CT検査では脳梗塞の発症直後には変化認めません。2~3日後に梗塞部や浮腫は黒くなり指摘できますが、早期診断にはむいていません。
【治療・処置】
脳梗塞の治療効果は、なるべく早く診断し、早期に開始するほど大きくなります。早期治療が重要です。主な治療方法は下記の通りです。
経静脈血栓溶解療法(t-PA治療)
t-PA(組織型プラスミノーゲン・アクティベータ)という血の塊を溶かす薬剤を点滴で投与します。
動脈内血栓溶解療法
詰まっている血管の手前までカテーテルを入れて、血栓溶解薬を注入します。
抗血栓療法
動脈硬化が原因で起こる脳梗塞では抗血小板薬や抗トロンビン薬を、心房細動などの心臓病が原因で起きた脳梗塞では抗凝固薬を早い時期から投与して、症状の進行や再発を防ぎます。
※脳梗塞後遺症
脳梗塞後遺症である運動麻痺や感覚障害、言語障害などがなかなか治らないことは少なくありません。急性期の内科的治療、外科的治療が一段落しても社会復帰するまでの間にいろいろな訓練が必要になります。これがリハビリテーションです。
リハビリテーションの目的は、残された機能を最大限に引き上げて復帰することです。リハビリテーションで回復は完全ではありません。一度完全に失ってしまった機能はたとえリハビリテーションをしても100%元通りにはなりません。
しかしながら、リハビリをした結果、麻痺は治らなくても自分の身の回りのことはもちろん、掃除、洗濯、台所の仕事などおどろくほど上手にこなしている人もいます。あきらめないでリハビリに取り組むことはとても大切なことです。