頸椎損傷(けいついそんしょう)

【どんな病気?】
頭からの落下や転倒で頸椎そのものを損傷してしまうことを頸椎損傷と言います。
頸椎損傷には、頸椎椎間板損傷、頸椎外周部にある骨の圧迫骨折や破裂骨折、頸椎の亜脱臼などがあります。
手や足の関節なら脱臼にそれほど深刻さはありませんが、頸椎の場合は別で、骨のずれによって中心を通る重要な頚髄を傷めることがあります。衝撃が強くて損傷が頸髄にまで達したら、体に障害が残ることや生命にかかわることもあるのです。
【体の症状は?】
首の強い痛みと手足のしびれ、マヒ、呼吸障害、意識障害などがみられます。
ただし、症状がなくてもⅩ線の診断で骨折が見つかることもあります。なお椎間板損傷の場合は損傷を受けてすぐではなく、かなり時間がたってから少しずつ症状の出てくるケースがあります。
肩や首の痛みから始まって、腕の筋力の低下、足がマヒして歩きにくいというように、だんだんと悪化していくが、間がたちすぎて、首を傷めたことが原因と気がつかないこともあるようです。
【検査】
レントゲン検査:
頚椎の骨折、脱臼が診断できます。その他、椎間板・筋肉・靭帯の損傷も間接的に知ることができます。
CT検査:
神経組織の圧迫、ヘルニアなどを把握するのに役立ちます。
MRI検査:
CT検査と同様に脊髄、神経根の圧迫、椎間板ヘルニアなどの状態が分かります。
【治療・処置】
頸髄の損傷を想定して、現場では絶対安静です。動かす時は首をまっすぐに固定して、タンカなどに乗せます。体を持ち上げる時は、首の固定がずれないように細心の注意を払ってください。
治療は、損傷の程度や神経症状の有無によって違います。骨折していても軽ければ固定で済みますし、脱臼状態を元に戻すために手術することもあります。いずれにしても回復には長期間かかります。