褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)

【どんな病気?】
褐色細胞腫は、副腎髄質や腹部大動脈周囲、腹腔・骨盤腔に発生する腫瘍のことです。ほとんど(約90%)は副腎髄質に発生します。発生の原因は、不明であるため難病指定されています。発生した腫瘍は、カテコールアミンとよばれるホルモンを分泌するので、交感神経を刺激し、高血圧、代謝亢進などの症状が出現します。
【体の症状は?】
褐色細胞腫の代表的な症状として、高血圧、頭痛、代謝亢進、高血糖、発汗があり、これらは、褐色細胞腫の5大症状と呼ばれます。代謝亢進の具体的な症状は、体重減少、難治性便秘等です。褐色細胞腫では、交感神経を刺激するカテコールアミンが過剰分泌されるため、心拍数増加による動悸や、血管が収縮するため頭痛、振戦、悪心・嘔吐、腹痛、不安といった症状が出現します。副腎に腫瘍がある場合は、重い物を持ち上げたり、排便時やくしゃみといった怒せき時や腹部の触診といった腹腔圧が高まる事があれば、症状が増悪することがあります。また、精神的に動揺を起こせば交感神経を刺激し症状が悪化することもあります。
【検査】
血液・尿検査:
血液中・尿中のカテコールアミンの上昇を認めます。
腹部CT検査:
副腎や腹部大動脈周囲、腹腔・骨盤腔に腫瘍を認めます。
【治療・処置】
褐色細胞腫のほとんど(約80%)は良性腫瘍であるため、経過観察をします。難治性の高血圧や副腎髄質内に形成している腫瘍が増大傾向にある場合は手術にて摘出術を行います。副腎以外の場合や悪性の場合は、手術以外に化学療法を施行することもあります。