虚血性腸炎(きょけつせいだいちょうえん)

【どんな病気?】
虚血性腸炎とは、大腸に血液(酸素や栄養など)を届けている血管が閉塞・狭窄され、栄養が届くはずの領域が虚血状態(局所的な貧血)となる腸炎のことです。その原因は動脈硬化や血管の攣縮(けいれん性の収縮)などの血管側因子と、腸管内圧上昇や蠕動亢進などの腸管側因子が考えられています。高血圧、動脈硬化、不整脈、糖尿病で併発がみられやすい疾患です。高齢者や便秘の女性、腹部手術歴などの既往を有する人に多いと言われています。
【体の症状は?】
突然の腹痛、下痢、下血にて発症します。好発部位は下腸間膜動脈の支配領域である左側結腸なので、左側腹部痛を伴う下血があった場合はまず、この疾患を疑います。病変の多くは可逆性(ある条件を加えると元に戻る)ので、通常は10日以内に症状の軽減や回復がみられます。
【検査】
注腸造影検査で母指圧痕像(ぼしあっこんぞう)といわれる粘膜の変化や縦走潰瘍が認められます。
【治療・処置】
腸内の安静を図るために、禁食します。点滴等で輸液栄養を補給します。ほとんどの人は保存的に改善しますが、腸管が壊死して狭窄が強くなった場合などでは外科的腸切除が必要となります。