肛門がん

【どんな病気?】
肛門周辺にできたがんです。肛門の内部(肛門管内)のがんと肛門皮膚のがんに大別されます。
【体の症状は?】
主な症状は肛門腫瘤(しこりとして触れる)、出血、痛みでです。そけい部のリンパ腺に転移することが多く、そけい部のグリグリをに触れ心配で来院される方もいます。また肛門周囲の湿疹と紛らわしいタイプの特殊な肛門ガンもあります。一見湿疹様なので医師も誤診しやすく、発見が遅れることがあります。
【検査】
肛門がんをただのイボ痔・切れ痔・肛門ポリープなどと思い込んでいる場合があります。
病院での受診を決意されるまで、多くの方は羞恥心や恐怖心から症状があっても家庭医学書で自己判断して様子をみたり、市販薬を使用し治療しているケースが少なくありません。肛門疾患の診断において適切な問診が得られれば、ほぼ診断が可能となる疾患も少なくありません。
肛門の疾患は、肛門の専門治療を行なう専門医による検査と診断が必要です。受診科名に「肛門外科」等、「肛門」の名称が入った病院が専門病院です。
【問診後に行われる診察の例】
直腸/肛門指診:
肛門から指を挿入し届く範囲での直腸と肛門の中を触って診察します。最も基本的な診察法で、肛門の疾患で来院されたすべての患者が対象になります。
肛門鏡:
肛門に筒型もしくは二枚貝のような道具を挿入し肛門内を直接見て診察します。多くの肛門専門施設ではデジタル(電子)肛門鏡を設備しており、患者様自身その映像をみることができ、施行しながら詳しい説明を受けられます。鮮明な画質で自分自身の目で見ることができ医師の病気の説明により一層の理解が可能です。
大腸内視鏡:
肛門から出血した場合はすべての患者様が肛門からの出血とは限りません。40代以上の場合は大腸がんや大腸ポリープの可能性を除外する必要があり、若年者は潰瘍性大腸炎などの慢性的な腸炎が疑われる場合検査が必要です。
ヘリカルCT:
骨盤内や肛門周囲の腫瘍や膿瘍の広がり具合や悪性腫瘍のリンパ節転移や他臓器への浸潤の有無や程度がわかります。
肛門内圧検査:
肛門機能障害や排便機能に問題がある場合に行います。肛門を締める肛門括約筋のしまりや働きをその圧力を測定し診断します。
排便造影:
バリウムを混ぜた擬似便を直腸に貯留させて、排便時の直腸の形態や排便のされ方をレントゲンで観察します。これも排便の機能に問題がある場合の検査です。
超音波検査:
肛門周囲膿瘍の場合に、膿の貯留する部位や広がりを診断するのに使います。
【治療・処置】
手術での切除が原則です。進行がんの場合には「肛門切除と人工肛門」が必要となります。早期ガンの場合には「部分的切除と放射線療法の併用」も可能です。